■ あれ?
● いや、別にどっちでもいいから。
★ 残念だったな。
■ …くそ。
● どんなの買ってきたんだ。
■ 見ての通りだよ。
● どれどれ…。
小早川、ビンを机に出して行く。
● 石狩鍋の素、土手鍋の素、水炊きの素、海外もあるのか。中華風にタイ風にスペイン風に広
東風かに玉か。
★ ちょっと、まてかに玉は鍋の素じゃないぞ。
● え?ホントだ。
★ 間違って買ってきたのか。
● じゃあ、この六つの中から選べばいいんだね。
■ いやまて、これ…。「かに王」だ。
★ かに王!?
● なんだよ、かに王って…ホントだ。
■ 俺は一体何を買ってきたんだ…。
● 多分、すごくエライかになんだよ。王国なんだよ。
★ いや、これ…。「玉」の点がシールで隠れてるだけじゃないか。
● やっぱ、和田アキコなのかな?
★ いやいやいや、かに玉だって。ホラ。
● …ホントだ。
■ 良かったあ。
★ 紛らわしいな。
■ あー、良かった良かった。
★ んで、鍋どの味付けにしようか?
■ あー、そうだな。
● 水炊きでいいんじゃない?ポン酢もあるし。
★ あー、そうだな。
■ え、でも、これ。
★ 残りはお前のだろ。好きにしろよ。
■ そんな人事みたいに言うなよ。
★ 人事だもん。
■ …スペインか…
★ 米買ってきた?
● うん。買って来た。でもおかしいんだ。
★ 何が?
● これしかないって。
小早川、米袋を出す。
★ …タイ米?