医者 はい?
男 あ、いや。
医者 今日はどのような。
男 あ、はい。実は分からないんですよ。
医者 分からない?
男 あ、は。家庭とか、仕事とか、そういう具体的なことはハッキリしないん
ですけど、なんていうか、簡単に言うと、元気が出ないんです。なんていうか体に力が入らないというか…。
医者 お腹がすいてもへってもないのに、なんとなく冷蔵庫を開けるような。
男 あ、そんな感じです。何回も開けてます。だから、「全然、冷えないじゃな
い。」って、言われちゃって。
医者 最近、何か大きな出来事がありませんでしたか?お仕事やご家庭のことで。
例えば、奥さんや上司の方とケンカされたとか?
男 それは…、診断ですか?
医者 そんなに大袈裟に考えないで下さい。街頭のアンケート調査くらいの気持
ちで気軽に。後から、英会話の教材を売りつけることもありませんので。
男 はあ。
医者 まあ、肩の力を抜いて、ざっくばらんに。
男 はい。…大きな出来事と言えるかどうかは分からないのですが、会社で私
に任せられていた仕事が、終わったんです。
医者 それは残念でしたね。
男 いや、上手く終わったんですよ。
医者 そうなんですか。
男 はい。それで自分へのご褒美というか、有休をとってゆっくりしようと思
ったんです。仕事が終わった直後だったので、会社の方も認めてくれたん
ですよ。
医者 それはよろしかったですね。
男 はい。旅行にでも行こうかと思って、カタログとかも見たんですが、結局、
家でゴロゴロと。1日中、ボーっとしてました。
医者 たまにはそういうのも良いものですよ。
男 でも、有休が終わっても、会社にいく気がしなくて…。
医者 なるほど。
男 別に行きたくないってわけじゃないんです。ただ、行く気がしないんです。
医者 そういった症状は…。
男 …。
医者 この時期良くあることです。いわゆる5月病というものです。
男 もう、7月ですけどね。
医者 そうですね。
男 7月なんです。もう、次の仕事も動き出します。早く会社に行かないと。
医者 あせられる気持ちは分かりますが、落ち着いて。
男 やはり、会社が原因なのでしょうか?でも、仕事もうまく行って…。
医者 原因がかならずしも、その直線にあるとは限りません。
男 じゃあ、一体何が…。