ミユ、先に進んで行く。森を出るがそこは入り口である。
ミユ あれ?ここ、最初のとこだ。
精霊 「お前はこの森を抜けることはできない。」「ずっと、森の中をさまよいつづけるがい。」
「そう、一生だ。」
ミユ えーい。チクショウ!
ミユ、走る。しかし、森の入り口。
ミユ あー、やっぱりだあ。
精霊 「あきらめろ、あきらめて帰れ。」「ムダムダ。」「ダイエットにはもってこいかな?」
ミユ なによ!失礼しちゃうわね。
精霊 「どうせ、お前もチョコが目的だろ。」「この、ぽっちゃり予備軍。」「ブサイク。」
ミユ ブサイクとはなによ!これでもクラスじゃカワイイ方なんだから。
精霊 「所詮は“方”レベルだろ?」「5段階表かじゃ3Aぐらいだろ。」「この平均人間!」
ミユ もー、アッタマきた。そっちがそういう気なら、こっちにも考えがあるんだから。
精霊 「「「え?」」」
ミユ …わざわざ、森の中通らなくても、森の外側を通って行ったらいいんだから。
精霊 「「「は?」」」
ミユ それじゃあ、バイバイ。
ミユ、森の外側を歩き出す。
精霊 「あ、おい。」「ちょっと、待てよ。コラ。」「俺達の立場考えて行動しろよ。」
ミユ そんなの知らないもん。
精霊 「“もん”じゃなくてね。実際。」「俺達も森の中通ってもらわないと困るんだよ。」「僕達のアイデェンティティのために。」
ミユ アイデェンティティってなに?
精霊 「バカ!バカに難しい言葉を使うな。」「そうだ。バカ。」「ああ、ごめん。あのねアイデ
ェンティティって言うのは…。」
ミユ それじゃ。
精霊 「あーうそうそ。賢い。めっちゃ賢い。」「うん、100点満点。」「利口利口。」
ミユ 利口?まあ、いいか。
精霊 「じゃあさ、気を取り直してさ。」「もう1回、森に入ろうよ。」「オマケするからさ。」
ミユ え?オマケって何かくれるの?
精霊 「え。いや…」「よけいな、こと言うなよ。」「イテッ、腿コン。」
ミユ オマケないんだ。
精霊 「え、いやごめん。」「どうしたら、森に入ってくれるかな?」「なんでも言ってよ。」
ミユ とりあえずさあ、私の前に出てきてよ。
精霊 「え。」「僕達なら、ずっとここにいるよ。」「そうか、見えないんだ。」
ミユ うん。全然。
精霊 「じゃあ、僕達が出るようにするからね。」「君も見ようと思ってね。」「そうしないと見
えないんだ」
ミユ 見ようと思う?
精霊 「「「ハイ、出たよ。」」」
ミユ まだ、見えない。