ミユ、村娘に近づいて。
ミユ マナミちゃん。こんな所で何してるの?
村娘 え?
ミユ マナミちゃんも来てたんだ。
村娘 私はマナミという名前じゃありません。
ミユ え?
村娘 それじゃあ、急ぎますので。
ミユ あの、ちょっとまって…。
村娘 まだ、何か?
ミユ 名前、ゴメンナサイ。友達にすごく似ていたから。
村娘 はあ。
ミユ ここって、カカオ村ですよね。
村娘 はい、そうですけれど。
ミユ おいしいチョコレートがあるって聞いて…いや、読んで来たのだけど。
村娘 …。
ミユ ?
村娘 …今はありません。
ミユ ないの?なんで?
村娘 …川が干上がってしまって、カカオの木が育たなくなってしまったんです。
ミユ そんな。折角来たのに。
村娘 ご期待にそえなくて、では。
村娘、去ろうとする。
ミユ どうして?
村娘 え?
ミユ どうして、干上がっちゃたの?
村娘 それが、分からないんです。何の予兆もなかったんです。
ミユ なんとかして、カカオ豆作れるようにならないかな?
村娘 原因を調べるために、何人もの人が水源に向かったのですが。
ミユ スイゲン?
村娘 川の流れが始まっているところです。あの山の中腹にあると言われているのですが…。
ミユ あの山の上のお城は何?
村娘 昔、このあたりを納めた王様のお城らしいです。今は誰も住んでないそうですが。
ミユ へえ、そうなんだ。
村娘 水源に行った人達は誰も、水源にたどり着けなくて帰って来てしまって。原因は結局分
からないんです。
ミユ みんな、帰って来ちゃったんだ。
村娘 ええ。あ、まだ帰って来てない人何人かいて、皆心配していて…。
ミユ よし、決めた。私もそのスイゲンに行く。
村娘 ええ!?
ミユ 戻ってきてない人がいるんでしょ。もしかしたら、困ってるかも知れないし。
村娘 そんな、見ず知らずのあなたに、そんなこと…
ミユ いいの。私が行きたいっていってるんだから、それにチョコレートも欲しいし。
村娘 …。