ミユ あ、ずるい。
精霊3 さあ、次は君らの番だよ。
ミユ そんなの出来るなら一緒に運んでくれればいいのに。
少年 そうだよ。
精霊3 残念ながら、そんなに上手くはいかないんだ。
少年 そんな。
ミユ そんな、けち臭いこと言わないで運んでよ。
少年 もう、いいよ。僕、自分で飛ぶから。
ミユ でも、危ないよ。
精霊3 ほらほら、早く飛ばないと先に進めないよ。次はお楽しみのドラゴンなんだから。
少年 え?ドラゴン?
精霊3 そう、物語で言えば、最後のボスとかそんなの?
ミユ ちょっと。
少年 ドラゴンなんて知らないよ。なんだよ。それ。
精霊3 なんだ、知らないのか?じゃあ、教えてあげるよ。
ミユ ちょっと、マサル!
精霊3 ん?僕か。まあ、いいからいいから。
ミユ でも…。
少年 ドラゴンって何なんだよ。早く教えてよ。
精霊3 じゃあ、しっかり聞いててね。ドラゴンというのは山のようにデカイ怪物で。ものすご
く恐い奴なんだ。昔はそいつで軍隊を追い返してたぐらいだから。すんごく強いんだろ
うね。あと、口から火と吹雪を吐けるんだっけ?
少年 ちょっと、マサル!
精霊3 ん?なんだい?君も聞いてたか?大変な相手だよ、こりゃ。
ミユ そんなことより。
精霊3 そんなことより?
ミユ なんでそんな酷い事言うのよ。
精霊3 酷い事?嘘はついてないよ。
ミユ 行って言いことと、悪い事が…。
少年 …飛べないよ。
ミユ え?
少年 3メートルなんて飛べっこないよ。
ミユ え、でもさっきはギリギリって。
少年 だって、さっきより崖が広くなってるし。
ミユ 何、言ってるの?変わるわけないよ。
少年 無理だよ、飛べっこないよ。
ミユ マサル。
精霊3 ん?僕か?
ミユ この子だけでも運んであげて。
精霊3 だから、本当に無理なんだって。
ミユ なんとかしてあげてよ。
精霊3 しかたがないなあ。ホレ、こっちに来れたらバナナを上げるぞお。
ミユ ふざけてないで!
少年 もういいよ。どうせここを飛び越えたって、ドラゴンがいるんだろ?もう、無理だよ。
少年、去る。