2012年8月26日日曜日

高橋いさをさんから影響「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」はヒーローになれなかった(なれない)男の物語。

劇団ショーマ (げきだんショーマ) は、日本の劇団。1982年、日本大学芸術学部演劇学科に在籍していた高橋いさをを中心に結成。同年10月、『みらあ』公演で旗揚げ。
高橋いさをの作品群は、大きく以下のように分けられる。

登場人物が芝居を演じるうちに、現実と虚構のパラドックスにはまり込んでいく様を描いた「超虚構」(メタフィクション)
「超虚構」を踏まえつつも、無対象演技によって拡大された演劇空間を変幻自在に往来する様を描いた「豊かな演劇シリーズ」(荒唐無稽9部作)
劇団ショーマ - Wikipedia

私が、大学演劇で、初めて取り組んだのが、高橋いさをさんの「バンク・バン・レッスン」でした。だから、やはり、その影響があったのだと思います。

思うに、氏の作品は、私が見た中で、現実の人々が「虚構」を楽しむ・・・というニュアンスがあったと思うのですが、その影響で書いた、この「ダンディ・ジョーンズ」は、10年くらいたって、読み返してみると・・・「虚構」を楽しめない、もしくは、ヒーローになれない、虚構にすら逃げ込めない、男が主人公の話になってました。

その心の部分が、ラストシーンに影響して・・・まぁ、非常に「よくある」ラストになっておりますが、最後にドアーを叩いた人が何者か?解釈は、10年前と、今とでは、解釈が違いますから、書いた本人的には、言い知れぬ、不気味さがありました。

多分、この手の話では、主人公の男が、虚構の世界で「カッコ良い主人公」になって、心の闇を吹き飛ばすのがセオリーだと思うのですが、社会の脇役(脚本上は主役)が、虚構の中でも脇役になり・・・という部分は、今、読み返すと、面白かったです。

それでも、ある意味、この物語は救いの物語でもあるのですが・・・だけど、ラストシーンの解釈次第では、また、違ったニュアンスで描けるかも知れません。

10年も前の脚本なので、今の演劇よりは古臭さを感じますが、生きている間に、「再演」が出来たらな・・・と思います。21歳の頃に書いた脚本ですが、今は、自分が、主人公に近い年齢になったように思えます。

以下がそのページのまとめ。まぁ、1P目から。「次の投稿」で進んでいけば、連続で読めますが。

完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 1P目。


  • 没台詞「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 ④
  • 没台詞「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 ③
  • 没台詞「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 ②
  • 没台詞「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 ①
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 39P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 38P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 37P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 35・36P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 34P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 33P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 32P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 31P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 30P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 29P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 28P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 27P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 26P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 25P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 24P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 23P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 22P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 21P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 20P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 19P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 18P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 17P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 16P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 15P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 14P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 13P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 11・12P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 10P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 9P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 8P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 7P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 6P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 5P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 4P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 3P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 2P目。
  • 完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 1P目。
  • 没台詞「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 ④

    男    え、僕ですか?

    おっさん ああ。

    男    僕は、別にそういう嗜好は…。

    おっさん そうじゃねえだろ。カッコ良い仕草だ。

    男    ああ。そうですね。タバコを吸う仕草とか。

    おっさん なるほどな。

    男    僕、タバコ吸いませんけど。

    おっさん 吸わないのかよ。

    若い女  あなたどう?さっきから黙ってるけど。

    ボブ   …。

    若い女  ねえ。

    ボブ   …。

    おっさん 寝てるんじゃないか?

    ボブ   起きてます。

    若い女  じゃあ、なんで黙ってるのよ。

    ボブ   カッコ良い男は多く語らない。

    おっさん 自分で言っちゃったよ。

    男    もう、仕草がカッコ良いんですよ。タバコ一本吸っても決まるんです。

    若い女  あ、それ分かる。

    男    皆さん、何かそんなのないですか?

    おっさん あ?

    男    カッコ良い仕草です。その、グッとくる。

    おっさん ああ。

    男  あ、すみません。その前に。

    医者 はい?

    男  トイレはどこですか?

    医者 どこに行ってらしたんですか?

    男  トイレです。

    男  ちょっと、タバコを買いに。

     アイリーン、入って来る。

    アイリーン そこまでよ。この周りはCIAが包囲しているは?

    ピカロ   アイリーン!どこってたんだ!?

    ダンディ  自体が飲み込めてないようだな。

    アイリーン ピカロ。脱税の容疑がかかっているわ。おとなしくしなさい。

    ピカロ   ちくしょう!つかまってたまるか。

     ピカロ、逃げる。

    ダンディ   待ちやがれ!

    ジェニファー あ、待ってよ!

     ダンディ、ジェニファー、去る。

       「カウンセリング」

    医者 何か見つかりましたか?

    男  あ、はい。大好きだったTVドラマがあります。

    医者 TVドラマ?

    男  タイトルは「ダンディ・ジョーンズ魔宮の伝説」って言います。

    医者 それでは、その話をして行きましょうか?

    男  あ、すみません。その前に。

    医者 はい?

    男  トイレはどこですか?

    暗転

    医者   終わりましたか?

    おっさん お、先生。つつがなく。

    若い女  面白かったんだから。

    没台詞「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 ③

     ダンディ、ジェニファー、魔宮に入っていく。

    男 ダンディが魔宮に入り。いよいよ物語が終盤にはいります。丁度、期末試験期間に入りだしたのですが、僕には関係ありませんでした。

    おっさん ダンディはあんたか?

    男    僕は違いますよ。ダンディはワイルドな風貌なんです。そうボブさん

    みたいな。

    ボブ   このジーンズが。

    男    女性2人ですし。

    男    富井さんは?

    おっさん お?そう言われても難しいな。こういうのは漠然としたもんだからな。

    男    じゃあ、具体例でも。

    おっさん …街で見かけた男とかでも良いか?

    男    ええ、聞かせてください。

    おっさん その男はかなり良い線いってたんだ。

    男    へえ。

    若い女  どんな人だったの?

    おっさん 一見、寝間着ともとれる服を着ていて、首にはキャメラをぶら下げて

    いて、こんなサングラスをかけている上に、肌の感じは梅宮辰夫を思

    わせるんだ。

    男    そいつはすごい。

    若い女  カメラ、下げてたの?

    おっさん ああ、桜の季節だったからな。プロだなありゃ。

    若い女  へえ。

    おっさん どうなんだ?女としては、やっぱそういうのシビレルのかい?

    若い女  まあね。

    おっさん 先生は?

    医者   まあ、人によりますね。

    おっさん 賢い女。

    男    流石だ。

    若い女  何よ。それじゃあ、私がバカみたいじゃない。

    おっさん おお、悪い悪い。

    男    すみません。

    若い女  もお。

    若い女  仕事から帰って来て、ネクタイを外す時とか、感じちゃうわ。

    男    ははあ。

    おっさん お前はどうなんだ?

    没台詞「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 ②

    医者 では、そのTVドラマの話をしましょう。

    男  でも、ハッキリと覚えてなくて…。

    医者 かまいません。話しながら思いだす事もあるでしょう。

    男  …。

    医者 それで、そのドラマのタイトルは?

    男  あ、ハイ。「ダンディ・ジョーンズ魔宮の伝説」って言います。

       「さえない男、ダンディ・ジョーンズを楽しみだす。」

    男 沢山本を読んだ後とか、すごく疲れた後とか、嫌なことがあった時、体調を崩した時。頭の中がグルグルまわっていて、次から次へと言葉が、単語が、いろんな人の声で浮かんできて。何を言っているのか聞こうとしても、上手くいかなくて。捕まえようとすればするほど、手足がこんがらがって、目が覚めると汗だくで。思い出そうとしても何も浮かんでこなくて。

     爆発音。「ドカーン」

     ピカロ、飛び込んでくる。

    ピカロ どうだ?

    男   …いえ。

    ピカロ ひび1つ入っちゃいねえな。何で出来てるんだ。

    男   困りましたね。

    ピカロ バカに嬉しそうだな。

    男   いえ、ダイナマイトなんて初めてなもので。

    ピカロ バカなこと言ってないで、早く入口を探せ。

    男   へい。親分。

    ピカロ 気持ちの悪い奴だ。

     ピカロ、去る。

     男は残る。

     ダンディ、メリージェーン、入って来る。

    ダンディ   ふひー。荒っぽい事しやがるぜ。壊れちゃいないだろうな。

    ジェニファー ダンディは考古学者でもあるからね。

    ダンディ   ああ、先週からな。

    ジェニファー 開きそう?

    ダンディ   なんとか。

     扉の開く音。「ゴゴゴゴゴゴ。」

    ダンディ   開いた。

    ジェニファー いよいよね。

    ダンディ   ああ、いよいよだ。

    没台詞「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 ①

        「台詞の墓場」

    ダンディ   恐い思いさせちまったな。メリージェー…どうした?

    ジェニファー ハハハ…。今になって腰が…。

    ダンディ   おぶろうか?

    ジェニファー 大丈夫よ。

    ダンディ   へいへい。

    ジェニファー ほら行きましょ。

    ダンディ   大丈夫か?生まれたての馬みたいだぞ。

    ジェニファー 大丈夫よ。

     ジェニファー、手をつく。

     「カチリ」

    ジェニファー え?

       「カウンセリング」

    男  心がモヤモヤしているんです。何かをしなくちゃいけないと思うのですが、する気が起きなくて、目が疲れていて、背中が妙にだるくて、でも、眠たいわけじゃなくて。先生、私はどうしたら良いでしょうか?

    医者 まず、自分が満足できる事を作ってください。作れないのならば、見つけ

    て下さい。

    男  どうすれば見つかるでしょうか?

    医者 子どもの頃の事を思い出してください。何か楽しいことがあったはずです。夕方、大好きなロボットアニメを見るために息を切らして家に帰ったことや、友達と一緒に作った秘密基地。空き地で見つけて隠れた読んだHな本。いろいろあったはずです。

    男  アニメは今でも見ています。友達と作った基地は台風の日に壊れてしまって、それっきりで。H本は親にみつかって怒られて家にはおけなくなって

    …。

    医者 他にも何かあるはずです。

    男  そう言われても、何が楽しかったか…。

    医者 今、あなたの心は風邪を引いているだけです。ちゃんと治療すれば、風邪

    は治ります。

    男  薬とかは?

    医者 風邪に特効薬はありません。

    男  そんな…。

    医者 他にも何かあるはずです。楽しかった何かが。

    男  …大好きだったTVドラマがあります。

    医者 では、それを見て下さい。

    男  ないんです。近くのレンタルビデオ屋で探したんですが、あまりにマイナーなシリーズなので、おいてなくて。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 39P目。

    おっさん 元バーテン。

    若い女  以外ね

    おっさん あんたは、どんなのがカッコ良いんだい?

    男    …。

    おっさん おい。

    若い女  ねぇ、どうなの?

    男    …。

    若い女  ちょっと、自分で振っといて…。

    おっさん 寝てるのか?

    男    カッコ良い男は…。

    おっさん ん?

    男    多くを語らない。

    おっさん 自分で言っちゃったよ。

    男    面白いですか?

    若い女  うん、微妙。

    おっさん 4点だな。

    ボブ   君は何をしに来たんだい?

    男    えらく、ボロクソですね。

    医者   あの、皆さん。

     4人、医者に。

    医者   そろそろ…。

     誰かがドアをノックする音「コンコン」

                                    END?

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 38P目。

    若い女  嬉しくない事はないんだけど、やっぱり死んじゃうわけだからさ、後々重荷になってくるじゃない?新しい恋人つくる時とか。

    おっさん 以外とドライな女。

    男    …。

    おっさん まあ、カッコ良く死ぬのも難しいってことだ。

    若い女  さっきそう言ったじゃない。

     医者、入ってくる。

    医者   アイリーンはどうなったんでしょうね。

    若い女  先生、元気ない。

    男    すみません。でも、活躍したと思いますよ。

    医者   そうですか。

    おっさん しょげてるな。

    医者   では、こちらも続きをしましょうか。富井さんも仕事の方へ。

    男    あの。

    医者   はい。

    男    皆さんは、カッコ良いってどんなだと思います?

    医者   いえ、ちょっと…。

    若い女  そうね。仕草とか?

    男    仕草?

    おっさん お、仕草トークか?

    若い女  カッコ良い仕草ね。

    男    どんな仕草が良いですか?

    若い女  そうね。朝、ヒゲを剃ってる所とか好きかな?眠たそうな顔をしてるの。

    男    へェ。

    おっさん 前の晩何があったんだろうな。

    男    でも、かわいいですよね。それは。

    若い女  あ、そうね。

    男    じゃあ、富井さんは?

    おっさん 俺か?俺はあれだよ。切り立った、切り立った崖を2人のタフガイが

    登ってるんだが、ザックだかハーケンだかリュックサックが外れて、

    ピンチに…。

    男    それCMじゃないですか。

    おっさん お、おう。

    男    はあ。

    若い女  以外と子どもね。富井さん。

    おっさん おう。

    男    先生はどうですか?

    ボブ   家で、ホームバーかなんかで、シェーカーとか振ったらカッコ良いんじゃないかな。

    男    ああ、カッコ良いですね。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 37P目。

       「カッコ良い男を考える。」

    おっさん で、ダンディはどうなったんだ?

    男    分からないです。

    若い女  大好きだったんでしょう?毎週見てたって。

    男    ピカロの手下がダンディで撃たれて、そこから見てないので。

    おっさん なんでだ?消したのか?

    男    いえ、多分停電です。

    若い女  停電。

    男    ビデオデッキも全部停止しちゃって、第1話から標準で録画してたんですけど。

    おっさん そりゃあ、残念だったな。

    男    ええ。

    若い女  え、続きはどうなったの?

    男    それが、レンタルとか再放送とかそういうのは見なかったので。

    若い女  どうしてよ。

    男    なんかどうでもよくなっちゃって。

    おっさん じゃあ、ダンディがどうなったかは、分からないのか。

    男    少なくとも僕は。ただ、ダンディ・ジョーンズのシリーズは魔宮の伝説の後、何作か続いたみたいです。

    若い女  へえ。

    男    どれで結局は、ダンディ役の俳優が番組を降りると言いだして、キャストを変えて、ダンディの青春時代、若い頃のシリーズになったんですけど、やっぱり、いろんな方面に無理があったみたいで、すぐに終ったみたいです。

    若い女  なんか歯切れが悪いわね。

    男    ええ、まあ。

    おっさん ダンディはどうやって死んだんだろうな?

    男    ダンディは死ななかったと思います。

    おっさん は?

    男    死んでも、アークの力だかなんだかで生き帰るんですよ。

    若い女  ヒーローは死なない。

    おっさん カッコ良く死ぬのも難しいな。

    男    ええ。

    若い女  でも、実際、カッコ良く死なれても困るわよね。

    男    え?

    若い女  だって、男の人はカッコ良く死んで、そこで満足かもしれないけど、残された女のほうわね。

    男    どういうことです?

    若い女  んー。なんていうか。

    おっさん あれだろ?未亡人の気持ちだよな。

    若い女  そうそう。

    男    守られても嬉しくないんですか?

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 35・36P目。

    男      お前もな。ピカロ。

    ピカロ    俺もそう考えていた所だ。

    ダンディ   気が合うじゃないか。

    男      でも、根っからの卑怯者のピカロは。

    ピカロ    下がっていろ。

    男      はい。

    ダンディ   メリージェーン。良い子でお留守番出来るな?

    ジェニファー ええ。

    ピカロ    サシか。

    ダンディ   そうだな?

    ピカロ    数えるのは五つだ。

    ダンディ   望む所だ。

    男      ありがちな。5歩歩いて振りかえって撃つ。使い古されたシーンです。でも、僕は手に汗を握ってました。

    ピカロ    5。

    ダンディ   4。

    ピカロ    3。

    ダンディ   2。

     男、ダンディの前に飛びだす。

     ダンディはそれが分かっていた。撃つ。

    ピカロ  ちい!

    ダンディ 0だ!

     ダンディ、撃つ。

    男    …その時、子ども心に思いました。ジェニファーを助けたダンディはアークの力で甦るのに、ピカロを助けようとした名前のない男はどうしてアークの力で甦れないのか。すごく不公平だと思ったんです。

    ピカロ  まだまだ!

    ダンディ 往生際の悪い。

    男    結局、最終回まで、名前が出なかった男を放っておいて、話は続いていきます。

     アイリーン、入って来る。

    アイリーン そこまでよ。この周りはCIAが包囲しているわ!

    ピカロ   アイリーン!どこってたんだ!?

    ダンディ  自体が飲み込めてないようだな。

    アイリーン ピカロ。脱税の容疑がかかっているわ。おとなしくしなさい。

    ピカロ   ちくしょう!つかまってたまるか。

     ピカロ、逃げる。

    ダンディ   待ちやがれ!

    ジェニファー あ、待ってよ!

     ダンディ、ジェニファー、去る。

    アイリーン ほら、あなたも。

    男     え。

    アイリーン 逃げないの?

    男     僕はもういいです。

    アイリーン え?

    暗転

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 34P目。

    男      メリージェーン、いえ、ジェニファーが涙を流します。愛の涙です。その涙が神殿のアークに反応して、眩しい光を発するんです。そして…。

     アークが輝きだす。

    ピカロ    な、なんだ!

    男      ま、まぶしい!

     ダンディ、目を覚ます。

    ダンディ   メリージェーン。(涙で)ブラウスが濡れてセクシーだぜ。

    ジェニファー ダンディ。

    ピカロ    どういうことだ!?

    男      分かりません。奇跡としか…。

    ダンディ   少々臭いが、昔から言うだろ?愛の力は無限だと。

    ピカロ    しぶとい野郎だ。

    ダンディ   しぶといのは生まれつきでね。

     銃撃戦が始まる。

    男      いよいよ最後の決戦です。やっぱり、派手なガンアクションはカッコ良くて、夢中で見ていました。往生際の悪いピカロはしつこく、卑怯な手を使いつづけるんです。

    ダンディ   本当にしつこい野郎だ。

    ピカロ    あ、後ろに熊が!

    ダンディ   何!?

    ピカロ    嘘だ、バカ野郎!

    ダンディ   分かってるよ。

    男      ちょっとしたジョークを交えつつ、銃撃戦は続きます。

    ピカロ    おい、あの女は元気にしてるか?

    ダンディ   誰のことだ!?

    ジェニファー ダンディ、あの女って誰よ!

    ダンディ   メリージェーン。誤解だ。

    ピカロ    もてる男はつらいねえ。

    男      銃撃戦を続けるうちに話は脱線します。

    ダンディ   実際、冒険家ってのもつらい職業なんだ。

    ピカロ    そうなのか。

    ダンディ   世間の扱いはフリーターと変わらないからな。

    ピカロ    聞いてくれよ。車屋ってのも結構…。

    ダンディ   うるせえ!

    男      それで埒が開かないと思った二人はついに勝負にでます。

    ピカロ    こうしていても、始まらねえ。勝負に出たらどうだ?

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 33P目。

    男      え、だって、ボス…。

    ピカロ    俺も男だ。卑怯卑怯と言われて、あまつさえ豚野郎と言われて黙ってられるか。俺にもプライドがある。ジェニファーを放すんだ。

    男      親分…。

    ピカロ    ダンディ、ジェニファーは解放する。その変わりサシの勝負だ。

    ダンディ   信じられるのか?

    ピカロ    俺にもプライドがある。プライドがレフリーだ。

    ダンディ   良いだろう。

    ピカロ    おい。

    男      ほら。行け。

    ジェニファー ダンディ。

     ジェニファー、ダンディの所に向かう。

     ピカロ、ジェニファーの背中を銃で狙いをつける。

    ダンディ !

    男    なんて汚い男だ。ピカロは。そう、ジェニファーを解放すると言いな

    がら、ジェニファーの背中を狙ったんです。勿論、ダンディを落とし

    入れるために。

    ダンディ ジェニファー!

    男 ダンディはジェニファーに駆け寄ります。そして、素早く背中に回りこむと

    両手を大きく広げジェニファーを守るんです。

     ダンディ、ジェニファーを庇う。

    男 それを計算していたピカロは何の躊躇もなく引き金を引きます。

     ピカロ、撃つ。

     銃声。

     ダンディ、倒れる。

    男 ダンディはメリージェーンをかばっては悪役のピカロの凶弾に倒れました。あの無敵だったダンディが。愛する者を守る時、男は無敵の強さを持つと言いますが、それは同時に最大の弱さでもあると思いました。でも、この後、奇跡が起きるんです。

    ピカロ    人間の性は悪だ。

    男      やったぜ、親分。

    ジェニファー ダンディ?ダンディ?

    ダンディ   …。

    ジェニファー ダンディ。起きてよ。いつもみたいに冗談なんでしょ?だってダンディ冗談好きだモンね。ねえ、ダンディ起きて。こんな所で寝てると風邪、引いちゃうんだから。ねえ、ダンディ…。起きてよ…。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 32P目。

    ピカロ    ご覧下さい。これがこの神殿にまつわるアークです。美しいでしょう。

    ジェニファー (無視)

    ピカロ    興味ありませんか?この赤い輝きが巨万の富を与えてくれる。

    ジェニファー あんたなんか、ダンディにかかればイチコロよ。

    ピカロ    どうかな?

    ジェニファー 随分余裕ね。

    ピカロ    この構図。以前にもありましたね。

    ジェニファー そうよ。この前と一緒であなたはダンディに適わないのよ。

    ピカロ    お嬢さん。どうして私が車業界で地位を築けたと思います?

    ジェニファー ?

    ピカロ    同じ失敗をしなかったからですよ。

    男      そうだ。親分はえらいんだぞ!

    おっさん   なあ、この先どうなるんだよ。

    男      そんなに焦らなくても、今、話しますよ。

    おっさん   早く、話してくれよ。

    若い女    富井さん、せっかちね。

    男      この後、アークの間にダンディがやって来て、最後の対決になります。

    おっさん   まってました。

    若い女    ピカロの余裕が気になる所ね。

    ボブ     どうせ、卑劣な手だ。

    医者     アイリーンはまだ出てこないんですね。

     等、言いつつ、ラストの立ち位置に付く。

    ピカロ    遅かったな!ダンディ!

    ダンディ   ピカロ!

    ピカロ    ようこそ。アークの間に。

    ダンディ   ジェニファーはどこだ!

    ピカロ    安心しろ。おい。

     男、ジェニファーを連れて出てくる。

    ジェニファー ダンディ!

    ダンディ   ジェニファーを放せ!

    男      放せと言われて、放す奴がいるか。

    ダンディ   毎度毎度、卑怯だぞ。ピカロ。

    男      うるさい!騒ぐとこの女ヒドイ目に会うぞ。

    ダンディ   どこまでも卑怯な奴だ。この豚野郎め。

    ピカロ    放せ。

    男      へ?

    ピカロ    放すんだ。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 31P目。

    アイリーン あら。

    ダンディ  おお、CIA。何してるんだ?

    アイリーン 何って、ピカロの容疑が固まったから、本部に連絡を。

    ダンディ  ごくろうさん。

    アイリーン あなたこそ何をしてるの?

    ダンディ  そうだ、そんなことより、メリージェーンを見なかったか?

    アイリーン いなくなったの?

    ダンディ  ああ。そうだ良かったら一緒に探してくれ。

    アイリーン 私はピカロの一味だって言ったでしょ。

    ダンディ  厳しいね。お役所仕事は。

    アイリーン まあ、ここは魔宮だから、罠にはまっているのか、迷子になっているか、そうじゃなかったら…。

    ダンディ  なかったら?

    アイリーン あんた以外にもいるでしょ?無類の女好きが。

    ダンディ  あの豚野郎。

    アイリーン ダンディ。

    ダンディ  ん?

    アイリーン ここから先は遊びでも冗談でもすまないわよ。

    ダンディ  分かってるさ。

    アイリーン 頑張ってね。お互い生きてたらまた会いましょ。

    ダンディ  あんたもな。

     ダンディ、去る。

    アイリーン、去る。

    医者 ちょっと待って下さい。アイリーンはどこに行ったんですか?

    男  ですから、本部に連絡を。

    医者 え、じゃあ、これからダンディと対決するのに。

    男  何行ってるんですか?ここで抜けるってことは、あとで出てくるってことなんですよ。

    医者 なるほど。

    男  一方、ピカロは。

    ジェニファー 私をどうしようっての?

    ピカロ    どうもこうも、こうしてアークの間にご案内しました。

    男      ひひっ、親分こいつ上玉ですぜ。

    ピカロ    レディの前だ。上品にしろ。

    男      すんません。

    ピカロ    申し訳ない。下品な部下で。

    ジェニファー 反吐が出るわ。

    男      このアマ、親分になんて口の聞き方するんだ。

    ピカロ    良い。

    男      え、でも…。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 30P目。

    ピカロ  で、どうなったんだ?

    男    へ?

    おっさん その先だよ。どうなったんだ?

    男    でも、皆さん。戻られてからの方が。

    おっさん ケチくさいこと言わないで、話してくれよ。

    男    でも、どうせ、二回言う事に…。

     若い女、入ってくる。

    若い女    ごめんなさいね。良い所で切っちゃって。

    おっさん   まったくだ。

    若い女    何よ。自分だって。

    おっさん   じゃあ、続きだ。

    若い女    聞かせて。

    男      あ、はい。ダンディにかなわないと思ったピカロは、卑劣にもジ

    ェニファーを狙うんです。

    ピカロ    よくやった。

    男      へへ、ばっちりでさ。

    ジェニファー 私にこんなことして、ダンディが黙っちゃいないわよ。

    ピカロ    そのダンディも年貢の納め時さ。

    ジェニファー なんですって。

    ピカロ    ダンディの弱点はお前だ。

    ジェニファー あんたなんか、ダンディにかなうものですか。

    ピカロ    そういってられるのも、今のうちさ。行くぞ。

    若い女    ちょっと待って、ジェニファーはどうして捕まったの?

    男      ピカロの手下におびきよせられたんですよ。大好物のチェリーパイで。

    若い女    そんなのってあり?

    男      まあ、B級ですから。

    若い女    うう。

    ピカロ    では、行きましょうか。お嬢さん。

    ジェニファー どこによ。

    ピカロ    アークの間です。

     ピカロ、ジェニファー、去る。

    男 一方、ダンディは。

     ダンディ、入って来る。

    ダンディ  おーい。メリージェーン。どこだ?…まったくどこに。

     アイリーン、入って来る。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 29P目。

     ジェニファー、入ってくる。

    ジェニファー そこまでよ。

    ダンディ   メリージェーン。

    ピカロ    ちい。

    ジェニファー 2対1よ。

    ピカロ    勝負はおあずけか。

    ダンディ   遠慮するなよ。ピカロ。

    ジェニファー カッコ良くないわよ。ダンディ。

    ピカロ    まあ、これ以上アークに近付くな。命が惜しけりゃな。

    ダンディ   自分の立場分かってるか?

    ピカロ    分かっているさ。(お手上げ)

     ピカロ、去る。

    ジェニファー もう、心配させないでよ。

    ダンディ   悪い悪い。

    ジェニファー ダンディ。

    ダンディ   ん?

    ジェニファー 無理をしないでね。

    ダンディ   俺が無理をするのは、お前を守る時だけさ。

    ジェニファー 冗談なんだか、本気なんだか。

    ダンディ   そこに惚れたんだろう?

    ジェニファー ええ、そうね。

    ダンディ   さ、行こう。

     ダンディ、ジェニファー、去る。

    男 一方、ピカロは。

     ピカロ、入ってくる。

    男    親分。

    ピカロ  お前、どこ行ってた。

    男    すんません。ちょっと小便。

    ピカロ  この役立たずが。

    男    この男はいつもトイレに行っています。

    ピカロ  ったく、ダンディといいお前といい、いらつく奴ばかりだ。

    男    ダンディ?俺、ダンディの野郎バラしてきましょう?

    ピカロ  やめろ、馬鹿。お前が行っても返り討ちだ。

    男    へい。それじゃあ、どうしましょう。

    ピカロ  ええい、声がい大きい。お前は…。

    男    はい。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 28P目。

    若い女  へえ。

    男    それでは、話を続けますよ。

    おっさん 待ってました。

    若い女  ねえねえ、ジェニファーはどうなるの?

    男    それは最終回のお楽しみです。

    おっさん いよいよ最終回か。

    ボブ   ダンディはどのように死んだんだい?

    男    はい、それは…。

       「ダンディ・ジョーンズ」(男の解説付き)

    男    最終回はピカロとダンディが対決している所から始まります。

    ピカロ  お前はアークを何か宝物のような物と思ってるんじゃないのか?

    ダンディ 違うのか?

    ピカロ  馬鹿野郎が。

    ダンディ なんだ。どうだってんだ。

    ピカロ  冥土の土産だ教えてやろう。

    ダンディ そいつはご親切に。

    ピカロ  この魔宮を作らされた連中は、なんでも、休まず働き続けたそうだ。

    ダンディ それは知ってる。

    ピカロ  あ?

    ダンディ いいや、なんでもない続けてくれ。

    ピカロ  アークには、アークから滴り落ちる水滴には、疲れを吹き飛ばす、正確格には疲れを感じさせない不思議な力があるんだよ。

    ダンディ まさか…。

    ピカロ  そう、今で言う麻薬さ。もっとも成分は水とほんの少しのミネラルなんだがな。

    ダンディ 金の亡者か。

    ピカロ  世の中のには科学で説明出来ないことがあるんだ。

    ダンディ 科学で説明できないから税関も素通りか。

    ピカロ  「ジャングルのおいしい水」ってわけさ。この「おいしい水」を飲め

    ば、みんな、悩むことなく幸せに暮らせる。

    ダンディ 豚野郎が。

    ピカロ  豚は意外と清潔好きだ。

     ピカロ、銃を構える。

    男    珍しくダンディがピンチです。でも、2週に一回はピンチになるんです。映画なら1時間半で済みそうな内容を1クールでやるんですから。敵も大富豪一人なんです。でも、ダンディがピンチになると息を飲むんです。たとえ決着がつかないことが分かっていても。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 27P目。

    おっさん いや、この女が訳分からんことを言い出して。

    若い女  分からないのは富井さんよ。

    医者   ああ、なんとなく。

    男    ボブさん、お菓子おいしかったです。

    ボブ   喜んで貰えて、幸いだ。

    医者   富井さん、そろそろ戻らなくて大丈夫ですか?

    おっさん 大丈夫大丈夫。

    若い女  大丈夫なの?

    おっさん ああ、期待って、なけりゃないで楽なんだ。

    男    大丈夫ですか?

    おっさん 大丈夫だ。

    医者   何を話されてたんです?

    男    カッコ良い男についてです。

    医者   ドラマの話じゃなかったんですか?

    若い女  私は続きを聞きたいって言ったんだけど、皆一緒にって。

    男    折角ですから、皆さん一緒に話し方が。

    医者   すいません。わざわざ。

    男    じゃあ、話を続けましょうか?

    おっさん ところで、そのダンディってのは?どんな男なんだ?やっぱり、俺のような…。

    男    …そうですね。ボブさんが近いと思います。

    おっさん …。

    ボブ   私が?

    男    ダンディはワイルドな風貌なんです。

    ボブ   このジーンズが。

    若い女  ねえ、私は?

    男    ジェニファーです。髪の感じとか。

    若い女  だと思った。

    おっさん おい、俺はダンディじゃないとすれば、誰だ?

    男    富井さんは大富豪ピカロだと思います。

    おっさん そうだろう。このジャケットは少し高かったんだ。

    男    そのお腹の感じなんかドンピシャです。

    おっさん …。

    男    先生はアイリーン・ルウにそっくりです。クールな感じと、何しろ白衣ですから。

    医者   私がCIAのアナリストですか。

    おっさん で、あんたは?

    男    僕はピカロの手下です。スーツにネクタイなんですよ。

    おっさん ほう。

    若い女  どんな人なの?

    男    いつもどこかぬけていてピカロの足を引っ張っている。そんな役です。

     男を中心にして他の人は背景になって行くようなイメージ。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 26P目。

    「カッコ良い事を考える。」

    男    アウトドアとかで、焚き火を前にして、ブリキのカップでウイスキーを飲むんです。もちろん肴はハムや薫製です。

    おっさん それでギターなんかを弾いちゃうんだな。

    男    そんなナンパなことしませんよ。

    若い女  歌わないの?

    男    歌いませんよ。

    若い女  それじゃあ、おしゃべりするのね。

    男    言葉はいらないんです。ただ星を見て、火を見るんです。

    若い女  つまらない。

    おっさん ああ、アレだな?言葉はいらないんだな。

    男    はい。

    若い女  そのままじゃない。

    おっさん 言葉はいらないんだよ。

    若い女  何それ。

    おっさん それで、他はどんなのが良いんだい?

    男    そうですね。ハムを食べる時はナイフですね。切り分けたりしないで、ブスリとさして。ほら、あの「ラピュタ」でシータとパズーが軍隊につかまった後、パズーが家に帰ってきたら空賊がご飯食べていて、女親分、ドーラが食べてたみたいに。

    若い女  長いわ。

    おっさん あんた、ジブリ好きだな。

    男    へへっ。

    若い女  「へへっ。」って。

    男    ああ、ジブリと言えば…。

    おっさん ああ、もうあんたの言う通りだ。

    若い女  ねえねえ、車庫入れの時とかカッコ良くない?

    男    え?

    若い女  バックする時の、ホラ、こう…。

    男    え、いや、そういうのはちょっと…。

    若い女  えー、どうして?

    おっさん バックミラー、使えば良いじゃねえか。

    若い女  使わないの。

    おっさん どうしてだ?

    若い女  使わない方がカッコ良いからよ。

    おっさん じゃあ、何か?車メーカーは男をカッコ悪くしたいがために、バックミラーを着けていると言うのか!?

    男    いや、なんで怒っているんですか?

     医者、ボブ、入ってくる。

    医者   どうしたんですか?大きな声を出して。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 25P目。

    医者 それでは、その話をして行きましょうか?

    男  あ、はい。

     おっさん、若い女入ってくる。

    若い女  お茶入ったって。

    おっさん 俺が腕によりをかけたから、うまいぞう。

    若い女  見てただけじゃない。

    おっさん 頑張って見てたんだ。

    男    ボブさんは?

    若い女  お茶菓子探している。

    おっさん 小麦粉買いに行く、勢いだったけどな。

    医者   あの。

    男    はい。

    医者   こちらは?

     暗転

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 24P目。

    アイリーン そこで私は表向きは脱税の調査で潜入したの。まさかこんなジャングルまで連れて来られるとは思ってもみなかったけど。

    ダンディ  なるほどな。だいたいあんたの目的は解ったけど、どうして白衣なんだい?

    アイリーン こだわるわね。

    ダンディ  コスプレか?

    アイリーン 糖尿なのよ。

    ダンディ  !…そいつはお気の毒になんて言って良いか。

    アイリーン ピカロがよ。

    ダンディ  ああ、なーる。

    アイリーン どう?分かった?

    ダンディ  ああ。理解した。

    アイリーン だったら、その物騒なものは下げてくれないかしら。

    ダンディ  いいや、それは出来ない。

    アイリーン 何故?

    ダンディ  CIAもアークを狙っている。そうだろ?

    アイリーン 考えすぎよ。

    ダンディ  じゃあ何故、ピカロはアークを狙っている。それなら分かるだろ。

    アイリーン 私は一応、ピカロの手下よ。

    ダンディ  俺のは女性に優しいんだが、時には手のつけられない獣になるんだ。

    アイリーン 魔宮が作られた時、作業をさせられた奴隷達は、休まず働いたそう

    よ。

    ダンディ  日本人みたいだな。

    アイリーン 私に言えるのはそれだけよ。

     ジェニファー、入って来る。

    ジェニファー ダンディ、足、早過ぎ…!

    ダンディ   心配ない。このお姉さんは正義の味方だ。

    アイリーン  どうも。

    ジェニファー そうなの?

    ダンディ   ああ。先に行くぜ。

    アイリーン  どうぞ。

    ジェニファー あ、待って。

     ダンディ、去る。

     アイリーン、去る。

     男、入って来る。

    医者 何か見つかりましたか?

    男  あ、はい。大好きだったTVドラマがあります。

    医者 TVドラマ?

    男  タイトルは「ダンディ・ジョーンズ魔宮の伝説」って言います。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 23P目。

    に嘘をついてなかったか?押し殺した感情はなかったかどうか、等です。

    男  楽しめることとは?

    医者 自分を分析するというのは、精神的には勿論、肉体的にもつらい作業です。それに専念しすぎると、症状をさらに深めるという場合もあります。

    男  え?

    医者 ですから、休憩出来るリラックス出来る環境を整えておくために…。

    男  離れて!

    医者 え?

     爆発音。「ドカーン」

     ピカロ、飛び込んでくる。

    ピカロ   どうだ?

    男     …いえ。

    ピカロ   ひび1つ入っちゃいねえな。何で出来てるんだ。

    男     困りましたね。

    ピカロ   バカに嬉しそうだな。

    男     いえ、ダイナマイトなんて初めてなもので。

    ピカロ   バカなこと言ってないで、早く入口を探せ。

    男     へい。親分。

    ピカロ   気持ちの悪い奴だ。おい、頼んだぞ。

    アイリーン はい。

     ピカロ、去る。

     男、去る。

     アイリーン、通信機か何かで、連絡をしようとする。

     ダンディ、入って来る。

       「アイリーンの正体」

    ダンディ  こんな辺鄙な所で、アンテナは立ってるかい?

    アイリーン あなた。

    ダンディ  相手は、あのおっさんじゃないよな。何者だあんた。

    アイリーン 宇宙人って言ったら信じる?

    ダンディ  まさか。

    アイリーン じゃあ、CIAの諜報員。

    ダンディ  CIAにも美人がいたもんだ。

    アイリーン ありがとう。

    ダンディ  どうもおかしいと思ったんだ。こんな秘境に白衣姿の女がいるなんてな。

    アイリーン ピカロは大富豪として有名だけど、裏の世界でも有名なの。麻薬、

    密輸なんでもありよ。

    ダンディ  有名な話だ。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 22P目。

    男    あ、カッコ良い男の生き方、つまり死に方というか僕が子どもの頃好きだったTV番組の話をしてたんです。

    若い女  何の話?

    おっさん 面白そうだろ?

    若い女  ねえねえ、何の話なの?

    男    TVです。TVの話です。

    若い女  TV局の人?

    おっさん なんだそりゃ。

    男    あ、僕はですね。見ての通り、会社員…。

     医者、入って来る。

       「カウンセリング」

    男 沢山本を読んだ後とか、すごく疲れた後とか、嫌なことがあった時、体調を崩した時。頭の中がグルグルまわっていて、次から次へと言葉が、単語が、いろんな人の声で浮かんできて。何を言っているのか聞こうとして、聞こえなくて思い出そうとしても何も浮かんでこなくて。です。何かをしなくちゃいけないと思うのですが、する気が起きなくて

    医者 「しなければ行けない」という感覚を忘れて下さい。

    男  え?

    医者 焦れば焦るほど、悪い方向に進んでしまいます。

    男  では、どうすれば良いでしょうか?

    医者 楽しめることを見つけて下さい。

    男  楽しめる事。

    医者 子どもの頃の事を思い出してください。何か楽しいことがあったはずです。夕方、大好きなロボットアニメを見るために息を切らして家に帰ったことや、友達と一緒に作った秘密基地。空き地で見つけて隠れた読んだHな本。

    いろいろあったはずです。

    男  アニメは今でも見ています。友達と作った基地は台風の日に壊れてしまって、それっきりで。H本は親にみつかって怒られて家にはおけなくなって

    …。

    医者 他にも何かあるはずです。

    男  そう言われても、何が楽しかったか…。

    医者 今、あなたの心は風邪を引いているだけです。ちゃんと治療すれば、風邪

    は治ります。

    男  薬とかは?

    医者 風邪に特効薬はありません。

    男  そんな…。

    医者 実際、薬はあります。しかし、それらは1時しのぎでしかありません。

    男  ではどうすれば?

    医者 先ず、自分に向き合い、今の自分の理由を突き止めて下さい。自己分析です。嫌だったこと、つらかったこと、その時、自分はどうだったか?自分

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 21P目。

    話しているよ。

    男  …。

    ボブ それではしばらく…。

     ボブ、去る。

     男、待つ。

     おっさん、入って来る。

    おっさん お?

    男    あ。

    おっさん ここのか?

    男    あ、はい。始めまして。

    おっさん おおおおおお。

    男    今、お茶入れに行かれてるんですよ。

    おっさん そうかそうか。

    男    はい。

    おっさん で、何を話してたんだ?

    男    あ、今、カッコ良い男の生き方、つまり死に方というか僕が子どもの 頃好きだったTV番組を…。

     若い女、入って来る。

    若い女  あ。

    おっさん お。

    男    あの、ここの?

    若い女  あ、はい。

    男    なるほど、バラエティに富んでますね。

    おっさん・若い女 ?

    若い女  それより、仕事ほっぽりだして。

    おっさん 少しくらい休憩した方が良いんだ。

    若い女  ほんとに。

    おっさん それより、このお兄さんがおもしろい話をしてくれそうだぞ。

    若い女  あ、始めまして。

    おっさん まあ、君も仕事を一時忘れて、ティータイムにしようじゃないか。お

    茶も来るみたいだしな。

    若い女  …。

     若い女、座る。

    おっさん こいつもさぼりたいんだ。

    若い女  お茶飲むだけよ。

    おっさん いいわけ。

    若い女  で、何を話してたんですか?

    2012年8月25日土曜日

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 20P目。

    男  はい。

    医者 次に、今自分はどうあるのか?どうなりたいのか?そうなるのに必要なこ

    とは何か?等遠い所から具体的なことを紙に書き出してください。

    男  はい。

    医者 1度にやっつけようとせず、一つずつ、ゆっくりとです。自分のペースで。

    男  ゆっくりとですか。

    医者 はい。それは1日にひとつかもしれないし、1年にひとつかもしれません。

    男  そんな悠長なこと言ってたら会社クビになりますよ。

    医者 そしたら、今いる会社はあなたにあっていないということです。

    男  そんな…。

    医者 先ず、あなたはどうなりたいですか?

    男  …。

    医者 難しく考えないで、例えば幼稚園児の夢のように単純で漠然としたもので。

    男  …僕はカッコ良く生きたいです。

     ボブ、入って来る。

    ボブ カッコ良く死ぬ?

     医者、去る。

    男  はい。死ぬ時はカッコ良く死にたいんです。

    ボブ というと?

    男  はい。中学の時に友達と語りあったんですよ。男の行き様について。

    ボブ それは熱いな。

    男  といっても、どうやったらモテルだろうかっていう延長ですけど。

    ボブ ははあ。

    男  その時も話になったのはカッコ良く死ぬことです。「老衰なんてまっぴら

    だ。」って感じで。

    ボブ それで、その時はなんと?

    男  はい。戦闘機に乗って歌いながら敵艦隊に突っ込んで行くとか。あ、勿論

    宇宙です。あと、仲間を救うために、単身敵要塞に突入するとか。あとま

    あ、敵とですね。熱い戦いの末に…。

    ボブ 敵だらけだ。

    男  はい。

    ボブ それで、君は?

    男  ちょっと青臭くて恥ずかしいんですが。

    ボブ 大体想像はつくね。

    男  愛する女性を守って死にたいな。と。

    ボブ やっぱり。

    男  子どもの頃大好きだった。TV番組があるんですよ。「ダンディ・ジョーン

    ズ」。そのダンディみたいな死に方だったら…。

    ボブ まあ、落ち着いて、その話は後でするとして、休憩をしよう。もう、随分、

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 19P目。

    ジェニファー あ、まってよ。

     ジェニファー、去る。

    男     行かなくて良いんですか?ピカロさん怒りますよ。

    アイリーン 今怒っているから、行っても怒鳴られるだけよ。

    男     それはそうですけど…。

    アイリーン 不安なの?

    男     それは、不安ですよ。

    医者 不安なのは分かります。でも今は良くなることだけを考えてください。

    男  は?

    医者 会社のこともとりあえずは忘れましょう。

    男  そういうわけには。

    医者 あせらないで、ゆっくり話ましょう。

    男  でも、このままじゃクビに…。

    医者 うちはバラエティに飛んだ色んなカウンセラーがいます。

    男  バラエティですか。

    医者 それでは始めましょうか。まず、は、やはり会社のことから。

    男  …はい。

    医者 お仕事が終って何か感じたことなどは?

    男  感じたこと?

    医者 考えたこと等。

    男  考えたこと…。

    医者 何かありませんか?

    男  パーティがあったんです。

    医者 パーティ?

    男  はい。その、仕事が終って、打ち上げみたいな。

    医者 ああ。

    男  その時に思ったんです。自分は大きな会社の一部でしかないって。私には

    上司がいて、その上司にも上司がいて、最終的には会長がいて。でもその

    会長もトップではなくて…。

    医者 分かります。

    男  そんなことを酔った頭で考えてました。それで…、次の日起きると。

    医者 会社に行きたくなくなった。

    男  はい。その時から何かがずれてしまったんです。お腹が空いても食欲がな

    くて、お腹が空きすぎて起き上がることが出来なくて。何を食べたかも希薄で。明日は本当に明日なのか?昨日は昨日なのか?明日は昨日なんじゃないかって分からなくなったんです。

    医者 それで、力が入らなくなった。

    男  はい。考えれば考えるほど分からなくなるんです。

    医者 まず、今ある自分を受け入れる事が大事です。迷っている自分。悩んでい

    る自分。焦っている自分。焦ってない自分。全てを今ある自分と容認して

    下さい。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 18P目。

     ダンディ、銃を構える。

    ピカロ    おいおい、分かってるのか?2対1だ。こっちにはお前の大切な

    メリージェーンがいるんだぜ。

    ジェニファー ジェニファーよ。

    ダンディ   ジェニファー。俺と一緒なら死ぬのも恐くないだろ?

    ジェニファー ダンディ。ちゃんと名前を呼ぶのはこう言うときばかりね。

    ダンディ   そこに惚れたんだろ?

    ピカロ    お前等、勝手に盛りあがるんじゃねえ。ダンディ!分かってるの

    か?お前が撃てばその瞬間、この女の頭はズドンだ。そしてお前

    はこいつ(アイリーン)がしとめる。

    ダンディ   俺の方が早いさ。

    ピカロ    おい、ダンディ。映画なんかじゃ、一発撃たれたらワルモンは

    死んでくが、あれはフィクションだ。死ぬまでに引き金くらいは

    引けるんだ。

    ダンディ   知ってるさ。

    ピカロ    …これは脅しじゃねえぞ。

    ダンディ   やれよ。

     間

    ピカロ    …バ、バカバカしい!ホレ!女は返してやる。

    ダンディ   どうも。

    ジェニファー ダンディ。

    ダンディ   メリージェーン。大丈夫か?

    ジェニファー もう…。

    ピカロ    ダンディ、次は撃つぜ。2回目はない。

    ダンディ   楽しみにしてるよ。

    ピカロ    おい、引き上げるぞ。

    アイリーン  はい。

    男      あ、ハイ。

    ピカロ    グズグズするな!

     ピカロ、去る。

     アイリーン、男、残る。

    ダンディ   行かなくても良いのかい?

    アイリーン  あなたには関係無いわ。

    ダンディ   それじゃあ、お先に失礼するよ。

     ダンディ、去る。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 17P目。

    男    いえ、お茶入れて来るって、随分帰ってこないんですけど。

    医者   ああ。

    おっさん お茶っ葉買いにいってるんだよ。

    男    そんなベタな。

     ボブ、入って来る。

    若い女  ボブ。

    ボブ   お茶っ葉買いに行った。

    男    …。

    若い女  じゃあ、私、入れてくるね。

    おっさん いや、俺に任せてくれ。得意技だ。

    医者   富井さん、そんなに帰りたくないんですか?

    おっさん まだ、話が途中なんだ。気持ち悪いだろ。

     とか、言いながら様々に動きだす。

    ボブ     メリージェーン!

    男      は?

    ジェニファー ダンディ!

    ピカロ    おっと、そこまでだ。ダンディ・ジョーンズ。

    ダンディ   メリージェーンを放せ!

    ジェニファー 私はジェニファーよ。ダンディ。

    男      あの、ちょっと、何を?

    ダンディ   壁を崩したと思ったら、今度はカドワカシか!

    ピカロ    お前が勝手に罠にはまったんだろう。

    ダンディ   なんだと!

    ジェにファー ピカロの言う通りよ。ダンディ。

    ダンディ   そんな、メリージェーン。

    ピカロ    動くんじゃねえ!

    ダンディ   おおっと、慌てなさんな。

    ピカロ    分かりゃ良いんだよ。おい。

    アイリ―ン  はい。

     アイリ―ン、ダンディに銃を向ける。

    ピカロ    お前もだ。

    男      へ?

    ピカロ    何やっている。早くしろ。

    男      あ、えと持ってません。

    ピカロ    ええい、邪魔臭い。これを使え。

    男      あ、いや…。

    ダンディ   そこまでだ。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 16P目。

    医者   またいらしてたんですか?

    男    また?

    医者   ええ、しょっちゅう仕事を抜けだして来るんですよ。この人。

    若い女  リストラされないのが不思議ね。

    おっさん ああ、俺もそこが不思議なんだ。

    男    ちょっと、待って下さい。こちら、先生じゃ?

    医者   違いますよ。

    男    え、だってバラエティに富んだって。

    医者   この方は違います。

    おっさん 富井です。始めまして。

    男    え、じゃあ、こちらの女性は?

    若い女  あ、私はここの事務員ね。

    男    …そんな。てっきり先生だと。

    医者   何か大切なこと話されたんですか?

    男    いえ。

    おっさん 大丈夫だ。この人の好きだったTVの話をしてただけだ。

    医者   それなら良いですけど、紛らわしいことは止めて下さいよ。

    おっさん へい。今後は。

    医者   すみませんでした。ちゃんと話しておけば良かったですね。

    男    いえ、良いんです。別に話してて楽しかったですから。

    おっさん 悪かったな。青年。

    男    …あの、富井さん。ひとつお聞きしてもよろしいですか?

    おっさん なんだ、あらたまって。

    男    お仕事、副部長ですか?

    おっさん は?

    男    あ、いえ、なんでもないです。忘れて下さい。

    おっさん 訳分からんな。

    医者   とにかく、富井さんも自分の仕事場に戻って下さいね。ここは職安じ

    ゃないんですから。

    男    ブラックですね。

    おっさん へい。

    医者   ほら、あなたも。

    若い女  はーい。

    男    あ、先生。そう言えば先生が。

    医者   はい?

    男    いや、あの、インディアンの。

    医者   ああ、ボブが何か?

    男    ボブさんっていうんですか?

    医者   はい。紹介しませんでしたか?

    男    いや、初めてです。

    医者   じゃあ、今紹介しましょう。ボブって言います。

    男    はあ。

    医者   ボブが何か?

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 15P目。

    男    正直、子ども頃はそれがギャグだとは思いませんでした。

     明転

    おっさん 確かにこにくいギャグではあるな。

    若い女  意味は分からないはね。「提供」って言われても。

    おっさん まあ、確かにな。

    男    壁が崩れてきて、何が起きるんだろうと思ってドキドキしていると「提

    供は…」ですからね。

    おっさん こにくいねえ。

    男    でも、今は思うんですよ。あれは子どもが夢中になりすぎないように

    番組側が配慮したんだと思うんですよ。

    おっさん なるほどな。

    若い女  で、そのダンディがどうしたの?

    男    え?だから子どもの頃にはそのギャグが分からなくて。

    若い女  そうじゃなくて。ダンディ・ジョーンズがどうしたのかって。

    男    なんの流れでしたっけ?

    おっさん なんかカッコ良い男の話じゃなかったか?

    男    そうです。ダンディがカッコ良いんですよ。カッコ良い男。

    若い女  随分、話が長かったわ。

    男    すみません。脱線してました。

    若い女  まあ、良いけど。

    男    じゃあ、脱線ついでに。お2人はカッコ良い男って、どんな人だと思

    います?

    若い女  え?カッコ良い男?

    おっさん その男はかなり良い線いってたんだ。

    若い女  語りだした。

    男    どんな人だったんですか?

    おっさん 一見、寝間着ともとれる服を着ていて、首にはキャメラをぶら下げて

    いて、こんなサングラスをかけている上に、肌の感じは梅宮辰夫を思

    わせるんだ。

    男    そいつはすごい。

    若い女  カメラ、下げてたの?

    おっさん ああ、桜の季節だったからな。プロだなありゃ。

    若い女  へえ。

    おっさん どうなんだ?女としては、やっぱそういうのシビレルのかい?

    若い女  まあね。

     医者、入って来る。

    医者   随分楽しそうですね。

    男    あ、先生。

    おっさん へへ、先生どうも。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 14P目。

    男      !

    ジェニファー キャ!

     ダンディ、銃を向ける。

    ダンディ   またお前か。

    男      ひい!

    ダンディ   動くな。こいつが見えねえのか?

    男      ・・・。

    ダンディ   ん?

     男、タバコをくわえる。

    男      あの、先生は?

    ダンディ   先生?ああ、先生さんなら向こうだ。早く行っちまえ。

     男、去る。

    ジェニファー 変な人。

    ダンディ   ああ、どこにでも役立たずはいるもんだ。

    ジェニファー 私達も行きましょ。あの人達戻ってくるかも。

    ダンディ   ああ。しかし、なんせ魔宮だ。慎重に慎重を重ねて…。

     ダンディ、進む。

     「カチリ」

    ダンディ   え?

     壁等が崩れる音。

     「ガラガラガラガラ…」

    ダンディ   な、なんだ。

    ジェニファー な、何?

    ダンディ   地震か?

    ジェニファー ダンディ、上!

    ダンディ   何!

     「ガラガラガラガラ…」

     暗転

    ダンディ   提供は…。

     「ガラガラガラガラ」

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 13P目。

        「ダンディ・ジョーンズのシーン。」

    ダンディ   畜生!真っ暗だ。

    ジェニファー どういうことなの?ダンディ。

    ダンディ   俺にも分からねえ。急に扉が。

    ジェニファー 何か、灯りはないの?

    ダンディ   今探している。

     明るくなる。

    ダンディ   おお!

    ジェニファー 勝手に明るくなった。

    ダンディ   流石、魔宮だな。サービス満点だ。お茶でも出てこないか?

    ジェニファー 何呑気な事言ってるの。

     ピカロ、アイリーンの声がする。

    ピカロ    よりによってあいつらに先を越されるとは、どういうことだ。

    アイリーン  すみません。やたらすばしっこい奴で。

    ピカロ    おい、もう1人はどうした。

    アイリーン  え?

    ピカロ    いないだろ。

    アイリーン  おかしいな。さっきまでいたのに。

    ピカロ    全く、どいつもこいつも。

    アイリーン  すみません。

    ピカロ    おい。お前等を雇ってるのは誰だ?この大富豪ピカロ様だろうが。

    いいか、忘れるな。俺の後ろにはピカロ財閥がついているってこ

    とをな。

    アイリーン  すみません。厳しく言っておきます。

    ピカロ    お前もだ。

     ピカロ、アイリーン、去る。

    ダンディ   まるで自己紹介だぜ。

    ジェニファー ピカロってあの車会社の?

    ダンディ   ああ。裏で密輸やら黒いことを山ほどしているっていう噂だが、

    まさか遺跡荒しもやってるとはな。

    ジェニファー 悪そうな顔してたもんね。

    ダンディ   まったくだ。

    ジェニファー 早く行きましょ。

    ダンディ   ああ。

     さえない男、入って来る。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 11・12P目。

    か希薄で…。お腹が空き過ぎて、朝起きれないような、体がいつもふわふ

    わして、何をしても楽しくなくて、ただ時間だけが過ぎて行って…。昔は

    自分がハッキリしていた、それだけは分かるんですけど、それでも体に力

    が入らないんです。考えても分からなくて。

    ボブ それで、答えはでそうなのかな?

    男  それなら、ここには来ませんよ。

    ボブ 確かに。

    男  分からないんです。どう生きるかなんて考えたこともなかったで。

    ボブ じゃあ、死ぬ事を考えてみようか?

    男  え。

    ボブ 人間誰しも死ぬ。死ぬために生きているとも考えらるね。

    男  まあ、それはそうかも知れませんけど、ちょっと物騒ですね。

    ボブ 死はいつも我々のまわりにいる。死を恐れてはいけない。恐れれば、それ

    は光よりも速い速度で向かって来るだろう。恐れなければ、それは、優し

    く見守っているだけだ。

    男  はあ。

    ボブ 死は終点ではない。そこを過ぎればまた新しい死が…。

    男  あの。

    ボブ 何だ?

    男  これ、カウンセリングですよね。

    ボブ そうだが?

    男  いや、なんというか宇宙的で広大と言うか…。

    ボブ ああ、すまなん。ちょっと脱線していたね。

    男  はい。口調も変わってました。

    ボブ いけない。悪い癖だ。

    男  癖なんですか?

    ボブ やはり私の中に流れている血が。うずくと言うか。

    男  はあ。

    ボブ どう死ぬかというのはあくまで例えで、考えても分からないときは考えて

    みようか、と、そういうことです。

    男  なるほど。

    ボブ まあ、それでも分からない時は考えて考えて考えて、それでも分からない

    時は考えるのをやめる。

    男  ジブリですか?

    ボブ はい。

    男  確信犯!?

    ボブ お好きなんですか?

    男  はい。子どもの頃良く見てました。

    ボブ 私は今でも見てます。

    男  日系ですよね?

    ボブ では、本題に戻ろうか。どう死ぬか…あ、いや、どう生きるかだったね。

    男  …。

    ボブ …。

    男  …。

    ボブ …少し休憩を挟もうか?こういったことは焦らないことが大切だし。喋り

    っぱなしで、喉も乾いただろう。

    男  …死ぬのなら。

    ボブ ん?

    男  死ぬのなら、カッコ良く死にたいです。

     暗転

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 10P目。

    男  バラエティってそういうことだったんですか?

    医者 どう思ったんですか?

    男  いや、それは…。

    ボブ 正確にはカウンセラー見習だね。

    男  どういうことですか?

    ボブ 私は部族でヒーラーという役職についてるんだ。

    男  はあ。

    医者 日本で言う所のカンセラーに近いものです。

    男  そうなんですか。

    ボブ 西洋の医学は薬物や外科手術を施すことで、回復を図るが、我々、ヒーラ

    ーは患者の心に直接働きかける事で、心の問題も含めて、回復を図ろうと

    するというわけだ。

    男  というわけですか。日本語お上手ですね。

    ボブ なんでも、話して、くれ。どうぞ。

    男  急に片言になってませんか?

    医者 どうですか?本物のインディアンと話せる機会なんて、そうありませんよ。

    男  いや、そういうのはちょっと。

    ボブ なんでも話して。気さくに。

    男  そうですか…。それじゃあ。

    ダンディ  ちくしょう。二人がかりか。

    男     は?

    アイリーン 女の子を先に返したのは残念だったわね。

    ダンディ  全くだ。

    男     あの、二人がかり?え?

    医者    そうですね。それでは私は一時退散しましょう。おねがいします。

    ボブ    ああ。

     医者、去る。

    ボブ どうかした?

    男  あ、はい。

    ボブ 最近、どうだい?

    男  え?

    ボブ 何を食べたとか、どんなことを考えたとか。

    男  …食べたのは昨日の晩は野菜炒めを食べました。

    ボブ 私も好物だ。

    男  考えるのは…。家にいて、動かないものですから、いろんなことを考えて

    しまって。

    ボブ 続けて。

    男  はい。自分はどうして生きてるんだろうか?生きる目的みたいなものです。

    ボブ うん。

    男  前はそんなことなかったんです。考えなかったんです。そんなこと。何も

    かも曖昧で。自分が生きているのかどうなのか?どこにいるのかもなんだ

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 9P目。

       「ボブ登場」

    医者 彼はインディアンです。

    男  は?

    ボブ よろしく。

    男  あ、よろしく…って、いや、先生、大変ですよ。廊下にコレが…。

    医者 ああ。

    ボブ それは、私のものだ。探してたんだ。すまないね。

    男  探してましたって、これ、拳銃…。

    ボブ ライターだよ。

    男  ライター。

     ボブ、拳銃型ライターをつけてみせる。

    男  ああ。

    ボブ ありがとう。

    男  いえ、どういたしまして。…先生、こちらは?

    医者 さっき紹介しましたよ。

    男  慌てたもので。その、銃に。

    医者 それじゃあ、もう1度、彼はインディアンです。

    男  インディアン。

    医者 はい。

    男  どう見ても、ジャパニーズにしか見えませんが。

    ボブ 日系だな。

    男  え、日系のインディアンっておかしいんじゃ…。

    医者 彼はインディアンです。

    ボブ 日系だな。

    男  …はあ。

    ボブ よろしく。

    男  よろしくお願いします。

    医者 では…。

    男  あの、そちらのインディアンの方は…。あ。

    医者 どうしました?

    男  インディアンって確か差別表現でしたね。ネイティブアメリカンって。

    ボブ 気にしないで。少なくとも日本の方に、君に、そう言われるのは気にしな

    いから。

    男  そうですか。

    ボブ ああ。

    医者 で、何か?

    男  そちらの方はどういった?

    医者 彼もカウンセラーですよ。

    男  あ、そうなんですか。

    医者 バラエティに富んでるでしょ?

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 8P目。

     ピカロ、去る。

     アイリーン、反対方向に向かう。

     ダンディ、ジェニファー出てくる。

    ダンディ お嬢さん、ちょっと失礼。

     ダンディ、銃を向ける。

    アイリーン  !

    ダンディ   メリージェーン。向こうへ行ってろ。女の子には少々刺激が強い。

    アイリーン  あら、私も女よ。

    ダンディ   確かに。だが、あんたは強い女だ。…メリージェーン。

    ジェニファー ええ。

     ジェニファー、去る。

    ダンディ  さて、あんた達は何者かな?教えてくれないか?

    アイリーン 名を名乗るのは自分からってのが世の中の常識よ。知らなかった?

    ダンディ  知ってるさ。俺の名はダンディ。冒険家だ。いや、冒険野郎だ。

    アイリーン 私は見ての通り医者よ。アイリ―ン。アイリ―ン・ルウ。風土病の

    研究のためにここに来てるの。

    ダンディ  スカートの下のモノは研究には必要無いんじゃないか?

    アイリーン 護身用よ。あなたのような人から身を守る為にね。

    ダンディ  それじゃあ、さっきのおっさんは博士か何かかい?

    アイリーン まあ、そんなところね。

    ダンディ  何が目的だ。魔宮には何がある?

    アイリーン あなたには関係無いわ。

    ダンディ  俺のは女に優しいが、こいつ(銃)はそうでもないんだ。

    アイリーン 下品なジョークもステキよ。

    ダンディ  ありがとう。

    アイリーン でもそれは下ろしてくれないかしら?緊張して話せないわ。

    ダンディ  どっちを下ろせばいいんだい?

    アイリーン しつこいと嫌われるわよ。

    ダンディ  Ok。さあ、言ってくれ。お前達は何を…。

     さえない男、飛び込んでくる。手には銃。

     ダンディ、アイリーン、さえない男の方を見る。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 7P目。

       「ジェニファー登場」

     ダンディ、入って来る。

     ダンディが入って来た瞬間に医者はアイリーンになる。

    ダンディ、隠れる。

    ダンディ ダンディだ。今、隠れている。相手は女が1人だが、油断は禁物だ。

     ジェニファー、入って来る。

    ジェニファー ダンディ、大丈夫?

    ダンディ   お、メリー・ジェーン。どうしたこんなところに?

     アイリーン、ダンディとジェニファーの方を見る。

    ダンディ   ニャー。

    アイリーン  なんだ猫か。

    ジェニファー しー。気をつけてよ。

    ダンディ   すまない。

    ジェニファー それと私の名前はジェニファー。何度言えば分かるのよ。

    ダンディ   ああ、すまない。なんでこんな所に?

    ジェニファー あなたを助けに来たのよ。

    ダンディ   そうか、そいつはありがたい。

    ジェニファー 今、どんな感じ?

    ダンディ   見ての通りだ。銃を持ってやがる。迂闊に動けないんだ。

    ジェニファー あなたはいつも危険と隣り合わせね。

    ダンディ   そこに惚れたんだろ?

    ジェニファー そういうこと言う?

    ダンディ   お。

     ダンディ、ジェニファー、身を潜める。

     ピカロ、入って来る。

    ピカロ    どうだ見つかったか?

    アイリーン  いえ、この辺にいると思うのですが。

    ピカロ    本当に見たんだな?

    アイリーン  はい。間違いありません。

    ピカロ    畜生。俺達以外にもアークを狙っている奴等がいるって事か。…

    おい、もう1人いただろ。

    アイリーン 今、もよおしたって。

    ピカロ   使えねえ奴だ。俺は向こうを探す。お前はあっちだ。

    アイリーン はい。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 6P目。

    医者 時間をかけてゆっくりと色んなことを話していきましょう。心の問題はあ

    せらないことが大切です。

    男  でも、早くしないと首に。

    医者 不安なのは分かります。でも今は良くなることだけを考えてください。

    男  はい。

    医者 会社のこともとりあえずは忘れましょう。

    男  はあ。

    医者 うちはバラエティに飛んだ色んなカウンセラーがいます。

    男  バラエティですか。

    医者 それでは始めましょうか。まず、は、やはり会社のことから。

    男  あ、すみません。その前に。

    医者 はい?

    男  トイレはどこですか?

    医者 …。

    男  すみません。場所が分からなかったもので。

    医者 ここを出て、右のつきあたりの左です。

    男  すぐに出してきますので。

    医者 ゆっくりしてきて下さい。

    男  じゃあ…。

     男、去る。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 5P目。

    医者 はい?

    男  あ、いや。

    医者 今日はどのような。

    男  あ、はい。実は分からないんですよ。

    医者 分からない?

    男  あ、は。家庭とか、仕事とか、そういう具体的なことはハッキリしないん

    ですけど、なんていうか、簡単に言うと、元気が出ないんです。なんていうか体に力が入らないというか…。

    医者 お腹がすいてもへってもないのに、なんとなく冷蔵庫を開けるような。

    男  あ、そんな感じです。何回も開けてます。だから、「全然、冷えないじゃな

    い。」って、言われちゃって。

    医者 最近、何か大きな出来事がありませんでしたか?お仕事やご家庭のことで。

       例えば、奥さんや上司の方とケンカされたとか?

    男  それは…、診断ですか?

    医者 そんなに大袈裟に考えないで下さい。街頭のアンケート調査くらいの気持

    ちで気軽に。後から、英会話の教材を売りつけることもありませんので。

    男  はあ。

    医者 まあ、肩の力を抜いて、ざっくばらんに。

    男  はい。…大きな出来事と言えるかどうかは分からないのですが、会社で私

    に任せられていた仕事が、終わったんです。

    医者 それは残念でしたね。

    男  いや、上手く終わったんですよ。

    医者 そうなんですか。

    男  はい。それで自分へのご褒美というか、有休をとってゆっくりしようと思

    ったんです。仕事が終わった直後だったので、会社の方も認めてくれたん

    ですよ。

    医者 それはよろしかったですね。

    男  はい。旅行にでも行こうかと思って、カタログとかも見たんですが、結局、

    家でゴロゴロと。1日中、ボーっとしてました。

    医者 たまにはそういうのも良いものですよ。

    男  でも、有休が終わっても、会社にいく気がしなくて…。

    医者 なるほど。

    男  別に行きたくないってわけじゃないんです。ただ、行く気がしないんです。

    医者 そういった症状は…。

    男  …。

    医者 この時期良くあることです。いわゆる5月病というものです。

    男  もう、7月ですけどね。

    医者 そうですね。

    男  7月なんです。もう、次の仕事も動き出します。早く会社に行かないと。

    医者 あせられる気持ちは分かりますが、落ち着いて。

    男  やはり、会社が原因なのでしょうか?でも、仕事もうまく行って…。

    医者 原因がかならずしも、その直線にあるとは限りません。

    男  じゃあ、一体何が…。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 4P目。

       「ダンディ・ジョーンズ」

    ダンディ 俺の名はダンディ。ダンディー・ジョーンズ。冒険家だ。いや、冒険

    野郎だ。今は南アフリカの某所にあるという、聖杯だか聖柩だか、ア

    ークかなんかを求めて冒険中だ。こいつは超弩級の危険の匂いの香り

    がプンプンするぜ。じっちゃんの名に書けてな。

     何かが動く音。「ガサリ」。

    ダンディ ム!?さっそくおでましか。ゆっくり自己紹介もできやしない。

     ガンアクション。相手はゾンビだが、舞台上に出ないように工夫。

     ガンアクションは「バイオハザード」風。

     全員、倒す。

     最後に、標的なしで、一発撃つ。

    ダンディ 残り3発。ジンクスだ。こういう家業だ。迷信や伝説もバカに出来な

    いのでね。おおっと、そろそろ。でかい石でも転がって来そうな気分

    だ。そろそろ、失礼させてもらうぜ。

     ダンディ、去る。

     ドアを開く音。「ガチャ。」

     「カウンセリング①」

     さえない男、ダンディがはけて場所と同じところから、後ろを見ながら入って来る。

     医者、入って来る。

    医者 おまたせしました。

    男  いえ、僕も来た所です。

    医者 なんか、デートの待ち合わせ見たいですね。

    男  え?

    医者 ジョークです。

    男  はあ。それじゃあ、映画にでも。

    医者 今日はどのような?

    男  …。

    医者 何かお悩みのことが。

    男  はい、それで来ました。

    医者 お仕事のこと、ご家庭のこと、人間関係、お仕事のこと、まあ、いろいろ

    とお見えになります。

    男  あ、いえ、別に仕事のことじゃないんですよ。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 3P目。

    若い女  ちょっと、返事くらい…。

    男    あああ、良いです良いです。別に無理をいってまでは…。

    ボブ   カッコ良い男は…。

    男    え?

    ボブ   多くを語らないね。

     間

    おっさん …こいつは一本取られたな。

    男    寡黙な男ですね。

    ボブ   男は背中で語る。

    若い女  確かに背中の広い男はカッコ良いわ。

    おっさん 腹なら大きいけどな。ビール腹。

    医者   飲みすぎは体に毒ですよ。

    おっさん 分かってますよ。先生。

    若い女  ボブさん、背中広い。

    ボブ   背中で語る。

    男    あの、皆さん…。

     4人、男に。

    男    他にカッコの良い。

     誰かがドアをノックする。「コンコン。」

    医者   はい。

     暗転。

     映像。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 2P目。

    男    あ、それはなんとなく。

    おっさん 分かりやすい女。

    男    じゃあ、富井さんは?

    おっさん 俺か?俺はあれだよ。切り立った、切り立った崖を2人のタフガイが

    登ってるんだが、ザックだかハーケンだかリュックサックが外れて、

    ピンチになる。そいで、そのピンチを強靭な筋肉で乗り切るんだな。

    そして指を弾いて栄養剤のキャップを開けるわけだ。

    男    それCMじゃないですか。

    おっさん おう。

    男    はあ。

    若い女  以外と子どもね。富井さん。

    おっさん おう。

    男    先生はどうですか?

    医者   え?

    男    カッコ良い仕草です。

    医者   私は良いです。

    男    え。

    医者   そんなに面白いこと話せませんので。

    男    そんな、話して下さい。

    医者   いえ…。

    若い女  先生も話してよ。聞きたいわ。

    おっさん この流れで話さないのはペナルティだぜ。

    医者   いや、それは意味が分からないですけど。

    男    話して下さい。興味津々です。

    医者   …。

    男    お願いします。

    医者   …シェーカー振ってるところ。

    男    え?

    医者   家で、ホームバーかなんかで、シェーカーとか振ってくれたら嬉しい

    です。

    男    ああ、カッコ良いですね。

    おっさん バーテンと何かあったな。

     医者、おっさんを見る。

    おっさん へへっ、すみません。

    男    あのー。

    ボブ   …。

    男    どんな男がカッコ良いと思いますか?

    ボブ   …。

    おっさん だんまりだ。

    若い女  ねぇ、どうなの?

    ボブ   …。

    完成上演済み脚本「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver.2.01 1P目。

       劇団ヤルキメデス第2回公演用脚本・

          「ダンディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」Ver2.01

     登場人物

     ♂さえない男     =名前のない男

     ♀医者        =アイリーン・ルウ

     ♂インディアン(ボブ)=ダンディ・ジョーンズ

     ♂おっさん(富井)  =ピカロ

     ♀若い女       =ジェニファー

     OPENING

     さえない男(=男)、医者、インディアン(=ボブ)、おっさん、若い女が話

    している。

    男    そこで、ダンディがそれまで下手をすれば1つの回に3回は言ってい

    た台詞を言うんですよ。 

     他の4人、反応。

    男    そこに惚れたんだろ?

    若い女  カッコ良い。

    おっさん ダンディが言ったらもっとカッコ良いんだろうな。

    男    まあ、それはね。

    おっさん 世の中にはカッコ良い男がいるもんだな。

    男    皆さんは、カッコ良いってどんなだと思います?

    若い女  そうね。仕草とか?

    男    仕草?

    おっさん お、仕草トークか?

    若い女  カッコ良い仕草ね。

    男    どんな仕草が良いですか?

    若い女  私はね。朝、ヒゲを剃ってる所とか好きかな?眠たそうな顔をしてる

    の。

    男    へェ。

    おっさん 前の晩何があったんだろうな。

    男    でも、それはカッコ良いじゃなくて、かわいいですよね。どちらかと

    言えば。

    若い女  あとね。仕事から帰って来て、ネクタイを外す時とか。

    2012年8月18日土曜日

    大人の中二病!痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02まとめ。

  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 23・24P。最終・未完。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 22P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 21P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 20P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 19P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 18P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 17P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 16P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 15P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 13・14P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 11・12P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 9・10P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 7・8P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 5・6P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 3・4P。
  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 1・2P。

    多分、最後のオチまでの構想はあったのだと思う。現実と、非現実が交わっているような構成だったのかな?

    高橋いさを的なヤツかな。うん。

    まぁ、多分、ドラゴンと戦うのを、演劇的に表現することを考えるのが、めんどくさくなって、投げたのだと思う。

    でもまぁ、24ページも書いたのだし、当時の自分を晒す意味でも、記念パピコ。

  • 痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 23・24P。最終・未完。

    ミユ  あ、ちょっと。

    精霊3 お元気でー。

    ミユ  …。

    精霊3 帰っちゃったね。

    ミユ  どうして、あんな冷たい言い方したの?

    精霊3 落ちるよりは良かったって。

    ミユ  …なんで、こんな奴がマサルくんにそっくりなんだろ?

    精霊3 さあ、次は君の番だよ。

    ミユ  …落ちたら、助けてくれるよね。

    精霊3 最初から助けてもらえると思ってたら、絶対に落ちるよ。

    ミユ  …。

    精霊3 飛べると思って飛んでみなよ。

    ミユ  …。

    精霊3 さあ。

    ミユ  …飛ぶよ。

    精霊3 早く。

    ミユ  …飛ぶからね。

    精霊3 ほら。

     ミユ、助走をつけて飛ぶ。結構、余裕で飛べる。

    ミユ  思ったより…。

    精霊3 簡単だったでしょ。

    ミユ  うん。

    精霊3 飛ぼうと思ったら、飛べるもんだよ。

    ミユ  あの子ちゃんと帰れたかな。

    精霊3 実を言うとさ、あの子を助けることも運ぶこともできたんだよね。

    ミユ  じゃあ、なんで…

    精霊3 っていうか、あの子飛べたよ。多分。

    ミユ  え?

    精霊3 ここまで一人で来たんだから。

    ミユ  どういうこと。

    精霊3 恐くて、自分の気持ちが信じられなくなったんだね。

    ミユ  恐がらせたくせに。

    精霊3 だからあ、僕は真実を言っただけだろ。

    ミユ  一緒よ。

    精霊3 じゃあ、秘密のままで進んだ方が良かったのかな?

    ミユ  …。

    精霊3 でしょ?

    ミユ  …うん。

    精霊3 さあ、ドラゴンが出てくるんだから、頑張って行こう。

     精霊3、出て行く。ミユ、追いかける。

     ドラゴンの谷。

     ミユ、精霊3入ってくる。精霊3、ビビッテル。

    精霊3 霧が濃くなってきたね。

    ミユ  ちょっと、引っ付かないでよ。

    精霊3 ねえ、やっぱり帰ろう。(ガタガタ)

    ミユ  なんなのよ。あんたは一体。

    精霊3 だって、ドラゴンだよ。ドラゴン。食べられちゃうよ。

    ミユ  それ、さっき自分で言ってたんじゃない。

    精霊3 ホントに帰ろうよお。

    ミユ  あれ?

     木が沢山、倒れている。

    ミユ  木が倒れてる。

    精霊3 ドラゴンだよ。ドラゴンがやったんだ。

    ミユ  でも、なんで木を…。

     突然、突風が吹く。2人、倒れる。ドラゴンが現れた。

    精霊3 うわあ。

    ミユ  きゃー。

    精霊3 ドラゴンだ。ドラゴンが来たんだ。

     ドラゴンが2人の前に現れる。


    未完。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 22P。

    ミユ  あ、ずるい。

    精霊3 さあ、次は君らの番だよ。

    ミユ  そんなの出来るなら一緒に運んでくれればいいのに。

    少年  そうだよ。

    精霊3 残念ながら、そんなに上手くはいかないんだ。

    少年  そんな。

    ミユ  そんな、けち臭いこと言わないで運んでよ。

    少年  もう、いいよ。僕、自分で飛ぶから。

    ミユ  でも、危ないよ。

    精霊3 ほらほら、早く飛ばないと先に進めないよ。次はお楽しみのドラゴンなんだから。

    少年  え?ドラゴン?

    精霊3 そう、物語で言えば、最後のボスとかそんなの?

    ミユ  ちょっと。

    少年  ドラゴンなんて知らないよ。なんだよ。それ。

    精霊3 なんだ、知らないのか?じゃあ、教えてあげるよ。

    ミユ  ちょっと、マサル!

    精霊3 ん?僕か。まあ、いいからいいから。

    ミユ  でも…。

    少年  ドラゴンって何なんだよ。早く教えてよ。

    精霊3 じゃあ、しっかり聞いててね。ドラゴンというのは山のようにデカイ怪物で。ものすご

    く恐い奴なんだ。昔はそいつで軍隊を追い返してたぐらいだから。すんごく強いんだろ

    うね。あと、口から火と吹雪を吐けるんだっけ?

    少年  ちょっと、マサル!

    精霊3 ん?なんだい?君も聞いてたか?大変な相手だよ、こりゃ。

    ミユ  そんなことより。

    精霊3 そんなことより?

    ミユ  なんでそんな酷い事言うのよ。

    精霊3 酷い事?嘘はついてないよ。

    ミユ  行って言いことと、悪い事が…。

    少年  …飛べないよ。

    ミユ  え?

    少年  3メートルなんて飛べっこないよ。

    ミユ  え、でもさっきはギリギリって。

    少年  だって、さっきより崖が広くなってるし。

    ミユ  何、言ってるの?変わるわけないよ。

    少年  無理だよ、飛べっこないよ。

    ミユ  マサル。

    精霊3 ん?僕か?

    ミユ  この子だけでも運んであげて。

    精霊3 だから、本当に無理なんだって。

    ミユ  なんとかしてあげてよ。

    精霊3 しかたがないなあ。ホレ、こっちに来れたらバナナを上げるぞお。

    ミユ  ふざけてないで!

    少年  もういいよ。どうせここを飛び越えたって、ドラゴンがいるんだろ?もう、無理だよ。

     少年、去る。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 21P。

     精霊3、後を追う。

     山道。

    精霊3 おいおい、急ぎ過ぎだって。

    ミユ  だって、早く行かないと。知らないでしょ多分。ドラゴンなんて。

    精霊3 知らないだろうな。

    ミユ  だから、早く追いつかないと。

    精霊3 そんなんじゃ、追いつく前にへばっちゃうぞ。

    ミユ  それでも、急がないと。

    谷川。

    谷川の側で、少年が一人立っている。

    ミユ  あ、誰かいた。

    精霊3 子どもだな。

    ミユ  ねえ。

    少年  何?

    ミユ  この子は良太にソックリだ。

    精霊3 知り合いか?

    ミユ  ううん。あなたカカオ村の子。

    少年  そうだけど。

    精霊3 弟がいるよな。

    少年  うん。

    ミユ  良かった。

    精霊3 君の弟がえらく心配していて、僕達の森によくくるんだよ。

    少年  あいつが?なんで。

    ミユ  あなたを探すためよ。

    精霊3 そういうことだ。早く帰りなよ。

    少年  ダメだよ!

    ミユ  え?

    少年  まだスイゲンについてないんだ!ここで帰っても意味無いよ。

    精霊3 ふん。

    ミユ  そうだね。そうだよね。じゃあ、一緒に行こう。

    精霊3 それだったら、グズグズしてないで早く行きなよ。

    少年  そうなんだけど…。

    ミユ  どうしたの?

    少年  橋が落っこちちゃってるんだ。

    ミユ  あ、ホントだ。ここで折れてる。

    精霊3 距離にして、3メートルか微妙な距離だな。

    ミユ  ギリギリ飛び越せるかなってとこかな。

    少年  僕も3メートルはギリギリかなって。

    精霊3 ま、僕は精霊だから。これくらいは…。

    精霊3、(ハケかなんか利用して)簡単に反対側に渡る。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 20P。

    精霊3 篭城になった時、水源を押さえられたら、もう勝ち目はない。

    魔女  そのために城の主は、最高の防衛策をとった。

    ミユ  ?

    魔女  川の流れが止められると、水源にドラゴンが現れるし掛けを作ったんじゃ。

    ミユ  ドラゴン…。

    魔女  並みの軍隊じゃ。到底、相手に出来ない魔物じゃよ。そのおかげで、城は攻め落とされ

        ることはなかった。今はもう廃れてしまったがのう。

    ミユ  お城がなくなっても、そのし掛けは残ってるのですか?

    魔女  それは分からん。じゃが、万が一の時にそなえ、鍵をかけたんじゃ。

    精霊3 村人が迷い込まないようにね。

    ミユ  でも、閉めちゃったら、誰も…。

    魔女  もしかしたら、何かの間違いかも知れん。だからギリギリまで待って見るんじゃ。

    ミユ  待ってもダメだったら?

    魔女  ワシが水源にいくのさ。なあに、引き分け(相打ち)には持ち込めるじゃろう。

    精霊3 で、どうするの?こんな話聞いちゃったけど。

    魔女  無理はせんほうがええぞ。とくにお嬢ちゃんはね。

    ミユ  …鍵を開けて下さい。

    魔女  え?

    ミユ  約束したんです。

    精霊3 無理はしないほうがいいよ。震えてるじゃん。

    ミユ  行かせてください!

    魔女  …まあ、無理にはめないがね。ただし、お嬢ちゃんが山道に入ったら鍵はかけさせて貰

    うよ。

    ミユ  はい。それじゃあ。

    魔女  さて、ワシはもう寝るよ。明日の朝に開けてやるよ。

    ミユ  え?

     暗転

     山道の入り口

    魔女  なんじゃ、これは!

    ミユ  鍵が壊されてる。

    精霊3 あー、こりゃ、石で殴ったんだな。あらら、錆びてる錆びてる。

    魔女  一体誰が?

    精霊3 あいつじゃないか?あいつ。

    ミユ  誰?

    精霊3 っていっても、名前は知らないんだけど。

    魔女  なんじゃ、それは。

    精霊3 俺達の森を抜けだした奴がもう一人いたんだよ。

    ミユ  それって、もしかして…。

    魔女  知っている奴か?

    ミユ  おばあさん!私、行きます。

     ミユ、山道を走って行く。

    精霊3 やれやれ。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 19P。

    魔女  所で、今日はなんでわしの所へ来たんだい?

    精霊3 ああ、それは…

    ミユ  川の流れが止まって、それでカカオ村でカカオ豆が育たなくなっちゃったんです。それ

        で…。

    魔女  なるほど、その話は聞いておる。

    ミユ  なんで、山道の門を閉めたんですか?

    魔女  それはじゃな。…その前にあの山の頂上に城が建っているのを知っているかな?

    ミユ  はい。知ってます。カカオ村で聞きました。

    魔女  じゃあ、今は廃墟になっている城じゃが、昔は栄えておってこのあたりを治めていたと

        いうのはご存知かな?

    ミユ  それも聞きました。

    魔女  それでは、水源がどのようになっているか?

    ミユ  それは聞いてません。

    精霊3 …モグモグ…僕、知ってますよ。モグモグ。

    ミユ  え!?あんた知ってたの?

    精霊3 モグモグ。(うん。)

    ミユ  なんで今まで黙ってたのよ。

    精霊3 だって聞かなかったじゃん。

    ミユ  知ってるのを知ってないと、聞けるものも聞けないじゃない!

    精霊3 え?

    ミユ  …聞けないでしょ。知らないと。

    精霊3 あ、そっか。やっぱり、話し合いは必要ですね。(カレーを食べる。)

    魔女  じゃあ、わしが教えて上げよう。

    ミユ  はい。

    魔女  あの水源はあの城の主が管理しておった。いや、正確には主のやとった巨人の夫婦が管

        理を任されておったのだが…。

    精霊3 ダムみたいなもんさ。(もぐもぐ)

    ミユ  ダム。

    魔女  そう。正にダムじゃな。日照りに備えて水を貯めておいて、貯水量を一定に保つのが、

        巨人の夫婦の仕事じゃった。城が廃墟になってからも、夫婦はその仕事を続けてくれて

        おったのじゃが…。

    ミユ  じゃあ、なんで水が止まってるんですか?

    精霊3 川の水が意図的に止められる時がある。

    ミユ  え?

    精霊3 それは城が攻められ、篭城する時さ。残酷な話だけど、下流の町を断ち切って城を守る

        んだ。

    ミユ  そんな、ひどい。

    魔女  確かに酷な話じゃが、いま問題なのはなぜ城が廃れた今、水が止められたかということ

        じゃ。

    精霊3 もう、攻めてくる国も攻められる国もないからねえ。

    ミユ  なぜ、山道を閉めるんですか?直接、水源を見に行けばいいのに。

    魔女  山道を閉めるのには2つの理由がある。一つは篭城中に水源を敵に抑えられないように

        するためじゃ。

    ミユ  でも、それはお城が廃れちゃって…。

    魔女  もう一つは我々を守るためだ。

    ミユ  え?

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 18P。

     魔女の家。(話をでかくし過ぎか?もっとライトな方がいいか?)

    ミユ  ゴメンクダサーイ。

    精霊3 やっぱ、辞めといた方が…

    ミユ  あ。

     部屋の奥に魔女が立っている。何やらブツブツ言いながら、ミユ達の方へ向かってくる。

    ミユ  どうもスミマセン。勝手にお邪魔しちゃって。ホラ。

    精霊3 あ、コンチワ。ハハハハ。

     魔女、近づいてくる。

    魔女  …ヲヌキタイメヲヌキタイメヲヌキタイメヲヌキタイメヲ…

    精霊3 ひゃー、やっぱり本当だったんだ。(逃げようとする)

    ミユ  あ、ジャガイモ。

    魔女  お嬢ちゃん。包丁は使えるかね?

    ミユ  ええ。はい。調理実習ぐらいなら。

    魔女  それじゃあ、これお願いできないかな?芽がたくさん出てしまってね。

    ミユ  あ、はい。分かりました。

    精霊3 ジャガイモ?

     暗転

    精霊3 イヤー、やっぱなんかおかしいと思ったんですよ。実際。

     明転

    ミユ  嘘ばっかり。

    精霊3 いや、マジでマジで。

    魔女  はははは。

    ミユ  カレーご馳走になっちゃってスミマセン。

    魔女  いやなに、手伝って貰ったから当然じゃよ。

    精霊3 いや、ホントにうまいッスよ。

    魔女  精霊の目玉がたくさん入ってるからねえ。

    精霊3 え゛!

    魔女  冗談じゃよ。冗談。

    精霊3 …冗談きついなあ。

    ミユ  ハハハハ。

     3人、談笑しながらカレーを食べる。

    ミユ  マトーヤさんて、私の友達にそっくりなんですよ。

    魔女  そうかい。

    ミユ  マナミちゃんっていうんです。

    魔女  ほお。

    精霊3 どこにでもありそうな、名前だね。(もぐもぐ)

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 17P。

    精霊3 魔女、魔女、魔女お。

    ミユ  マトーヤさんの家に行かないといけないのか。

    精霊3 言っとくけど、僕は魔女の家なんか知らないよ。

    ミユ  あ。

    精霊3 何?

    ミユ  ちゃんと案内がついてた。こっちに300メートルだって。

    精霊3 …。

    ミユ  じゃあ、行こうか。

    精霊3 結局、行く運命なのか。

     2人、移動する。

    ミユ  なんで、そんなに魔女が恐いの?

    精霊3 だって、魔女だよ。

    ミユ  あんただって精霊じゃない。

    精霊3 いやあさ。噂なんだけど、マトーヤは精霊の目をくりぬいてコレクションしてるって。

    ミユ  それ、ホント?

    精霊3 いや、噂。

    ミユ  ただの噂でしょ。大丈夫だって。

    精霊3 でももし、いきなり目ん玉くりぬかれた…。

    ミユ  大丈夫。

    精霊3 どうして。

    ミユ  いきなり目をくりぬくような人は、あんな看板立てないと思う。

    精霊3 (なるほど…。)

     2人、移動する。魔女の家に着く。

    ミユ  ここがそうかな?あ、ちゃんと表札がついてる。「マトーヤ」だって。

    精霊3 やっぱり帰らない?

    ミユ  ここまで来て何言ってるのよ。

     ミユ、呼び鈴を鳴らす。チリンチリン。

     しばらく、まつが返事はない。

    精霊3 留守、なんじゃないの?ははは。

     ミユ、ドアノブに手をかける。カチャ。

    ミユ  あ、開いてる。

    精霊3 へぇ!?

    ミユ  入らせてもらおうか?

    精霊3 辞めといたほうが…、失礼なんじゃないかな?

    ミユ  ゴメンクダサーイ。

    精霊3 聞かないなら、聞かないでよ。

     2人、魔女の家の中へ。精霊3は引っ張られて。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 16P。

     ミユ、精霊3入ってくる。精霊3はビビってる。

    ミユ  早く、道教えてよ。

    精霊3 さっき言ったとおりだよ。(ガタガタ)

    ミユ  何?怖いの?

    精霊3 なあ、帰っちゃだめかな?もう道教えたでしょ?

    ミユ  だーめ。教えてもらっても覚えられません。

    精霊3 そんなあ。

    ミユ  何をそんなに怖がってるの?。

    精霊3 それは…

    ミユ  ?

    精霊3 …いいかあ、聞いておどろくなよ。この森にはなあ…魔女がいるんだ。

    ミユ  …で。

    精霊3 あれ、ホントに驚かない。

    ミユ  セイレイに魔女って言われてもねえ。

    精霊3 怖くないの?

    ミユ  もう、慣れました。

    精霊3 すごいな。君本当に人間?

    ミユ  失礼ね。人間よ。それより早く道教えて。

    精霊3 早いとこ教えて、抜けたほうが良さそうだ。

    ミユ  で、どっち?

    精霊3 この先に門があって、そこから源流に続く山道に入れるんだ。

    ミユ  じゃあ、行こう。

     2人、門の所まで移動する。

    精霊3 さあ、ついた。この門を開ければ…あれ?

    ミユ  どうしたの?

    精霊3 開かない。

    ミユ  ええ?ホントに?

     ガチャガチャ。

    ミユ  ホントだ。

    精霊3 なんで閉まってるんだ?

    ミユ  あ、ここ、なんか書いてある。

    精霊3    どれどれ。

    ミユ・精霊3 「水源からの水の流れが止まったので、門を閉鎖する。通りたい人は、マトーヤ

            の家まで。」

    精霊3    ひゃあ。

     精霊3、すごくビビル。

    ミユ  マトーヤって誰?

    精霊3 マ、マ、ま、魔、魔女だよぉ。

    ミユ  へえ。魔女さんてマトーヤって言うんだ。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 15P。

    精霊達、あわてて全員「パー」を出す。ミユは「チョキ」。

    ミユ  やったー。全勝だ。

    精霊3 ね。

    精霊1 「ね。」じゃないよ。

    ミユ  それじゃあ、通らせてもらうね。

    精霊達、放心状態。

    ミユ  あ、そうだ。

    精霊1 まだ何か?

    ミユ  一勝で良い所を全勝したんだから、何かオマケつけてよ。

    精霊1 オマケ?

    ミユ  うん。オマケ。

    精霊1 何が欲しいんですか?

    ミユ  私、道とか全然知らないんだ。

    精霊1 へえ。

    ミユ  だから、誰か道案内できる人に付いて来て欲しいなあって思って。

    精霊1、精霊2顔を見合わせる。そして、両サイドから、精霊3にももコン。

    精霊3   イテッ。

    精霊1・2 お前が行け。

    精霊3   えー、なんで僕が。

    ミユ    あ、マサルくんにそっくりな人だ。名前は…。

    精霊3   マサルでも、なんでもいいよ。呼びにくいでしょ。

    ミユ    じゃ、マサルくんで。よろしくね。

    精霊3   よろしく。

    ミユ    それじゃあ、森通らせてもらうね。

    ミユ、去ろうとする。

    ミユ  あ、私の他に森を通った人っていた?

    精霊1 ああ、一人いたな。

    ミユ  この先であえるかな?

    精霊1 帰ってなけりゃ、逢えるだろう。

    ミユ  そうか。それじゃあ、またね。

    ミユ、精霊3去る。

    精霊1 またね。か。

    精霊2 それじゃあ、森に戻りますか。

    精霊1 戻ろう。

    精霊1、2森に戻る。

     魔女の森

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 13・14P。

     ミユ、頑張って見ようとする。精霊達出てくる。

    精霊1 見えるかな?

    ミユ  あ、見える見える。

     ミユ、精霊達を眺める。精霊3を見て。

    ミユ  あれ、マサルくん。

    精霊3 マサル?僕の名前は§∞♂だよ。

    ミユ  え?なんて?

    精霊3 §∞♂。

    ミユ  え?

    精霊3 §∞♂。

    ミユ  は?

    精霊1 ああ、そうだ。精霊の名前は人間には聞き取れない音域にあるんだ。それじゃあ改めて

    紹介するよ。

     音響、照明、入れようか。

    精霊1 食いしん坊の彼は§∞♂。紅一点の〆∀♀。そして、僕がこのチームのリーダーの♪±

    ♂だ。

    精霊2 どうも、初めまして。

    精霊3 初めまして。

    ミユ  全然意味無いな。

    精霊1 それじゃあ、僕達が出て来たわけだし、森に入ってもらおうか。

    精霊2 ささ、早く。

    ミユ  ちょっと、まって。

    精霊1 ん?

    ミユ  あなた達が出てきても、私は森でやっぱり迷うんでしょ?

    精霊1 そりゃあ、まあねえ。

    精霊3 それが僕達だからね。

    ミユ  ソレって不公平じゃない?

    精霊達 不公平?

    ミユ  だってそうでしょ。私は森を歩くしか出来ないし。大体、あなた達、3人がかりじゃな

    い。

    精霊3 まあ、そりゃそうだけど…。

    精霊2 でも、こういう場合ってそういうものじゃない?

    ミユ  私は納得いかない。

    精霊1 君、さっきからワガママ言い過ぎだゾ。

    ミユ  じゃあ、森の外通ろうか。

    精霊1 え、いや、それは…。

    精霊3 よけいなこと言うな。リーダー。

    精霊2 それじゃあ、どうしたらいいの?

    ミユ  正々堂々ショウブしない?

    精霊2 勝負って?

    ミユ  例えばジャンケンとか…そう、私はあなた達、3人の誰かに勝ったら勝ちってことで、

    あなた達は全員が私に勝ったら勝ちってのはどう?

    精霊1 ちょっと、まてソレはどうなんだ?

    ミユ  カクリツ的には平等だと思うけど。

    精霊1 カクリツ…。ちょっと待て、相談する。

     精霊達、相談しだす。その間、ミユは余裕で何を出すか考えてる。

    精霊1 あいつは、ああ言ってるけど実際のところどうなんだ?

    精霊2 ちょっと計算しましょ。

    精霊3 あいつは僕達3人のうちの誰か一人に勝ったらいいんだから…。

    精霊2 ジャンケンで勝つカクリツって3分の1だから。

    精霊3 3分の1足す3分の1足す3分の1で1かな。

    精霊1 ちょっとまて、絶対に負けるってことじゃないか。

    精霊2 そんなことがあるわけないわ。

    精霊3 あいつが勝てないカクリツは3分の2だから。3分の2足す3分の2足す3分の2は3

    分の6だから2か。

    精霊1 ちょっとまて、2ってどういうことだ?

    精霊2 なんでも、足したらいいってもんじゃないわよ。

    精霊3 じゃあ、かけてみようか?3分の1かける3分の1かける3分の1は…えっと9で27

        だから。27分の1。なんだ随分分が良いじゃないか。

    精霊2、精霊3にモモコン。

    精霊3 イテッ。

    精霊2 そんな簡単な訳ないでしょ。

    ミユ  あの、そろそろいいかな?

    精霊1 え?

    精霊2 ちょっと待って。

    ミユ  えー、まだあ。

    精霊3 やりましょうよ。

    精霊1 おい、待て。

    精霊3 カクリツなんていくら考えたって勝つ時は勝つし、負ける時は負けるんですよ。

    精霊2 それも、そうね。

    精霊1 …そうなのか?

    精霊3 そいううもんです。それに負けませんよ。僕達。

    精霊1 …。

    ミユ  ねー、もういい?

    精霊3 お待たせしました。早速やろう。

    ミユ  めんどくさいから、3人いっぺんにやろう。

    精霊3 望むところだ。

    4人、ジャンケンのモーションに入る。「フュー。」

    ミユ  それじゃあ、いくよ。じゃんけんポン!(すごい早いテンポ)

    精霊達 え、えええ。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 11・12P。

    ミユ  スイゲンは川の始まりなんだから、川のあとを登って行ったらいいのかな?よーし…

    男の子 ねえ…。

    ミユ  ?

    男の子 お兄ちゃん、探してきてくれないかな?

    ミユ  お兄ちゃんいなくなったの?

    男の子 水源に行ったんだ。でも、戻ってこないんだ。

    ミユ  あなた、探しに行かないの?

    男の子 いったさ、何回も何回も。でも全然見つかん無くて、それで、お母さんに「もう外に出

    たらダメだって。」

    ミユ  …。

    男の子 だから、探してきて欲しい。

    ミユ  …分かった、それなら直のこと、スイゲンにいかないとね。

    男の子 ありがとう。

    ミユ  じゃ。

    男の子 あ…。

    ミユ  何?

    男の子 村を抜けて少し行くと森があるんだけど。

    ミユ  うん。

    男の子 そこ、悪い精霊がいるから気をつけて。

    ミユ  セイレイ?セイレイってなに?

    男の子 なんていうかな?妖精みたいなものなんだけど。

    ミユ  ヨウセイ?ヨウセイってホントにいたんだ。

    男の子 うん。いるよ。

    ミユ  へー、楽しみだなあ。

    男の子 楽しみじゃなくて。

    ミユ  はい。

    ミユ  それじゃあ、行ってくるね。

    男の子 あ、村の出口まで送るよ。

    ミユ  ありがとう。

     村娘、ミユ出て行く。

     精霊の森。

    ミユ  ここが、あの子の言ってた森かあ。

     ミユ、森に入っていく。

    ミユ  薄暗いなあ。

     精霊達の声が響き始まる。「帰れ。」「帰れ。」「帰れ。」…

    ミユ  あ、これがセイレイさんか。おーい、セイレイさん。私は帰らないよ。

     ミユ、先に進んで行く。森を出るがそこは入り口である。

    ミユ  あれ?ここ…。

    精霊  「お前はこの森を抜けることはできない。」「ずっと、森の中をさまよいつづけるがい。」

    「そう、一生だ。」

    ミユ  えーい。チクショウ!

     ミユ、走る。しかし、森の入り口。

    ミユ  あー、やっぱりだあ。

    精霊  「あきらめろ、あきらめて帰れ。」「ムダムダ。」「ダイエットにはもってこいかな?」

    ミユ  なによ!失礼しちゃうわね。

    精霊  「どうせ、お前もチョコが目的だろ。」「この、ぽっちゃり予備軍。」「ブサイク。」

    ミユ  ブサイクとはなによ!これでもクラスじゃカワイイ方なんだから。

    精霊  「所詮は“方”レベルだろ?」「5段階表かじゃ3Aぐらいだろ。」「この平均人間!」

    ミユ  もー、アッタマきた。そっちがそういう気なら、こっちにも考えがあるんだから。

    精霊  「え?」「なんなの?」「なんだって?」

    ミユ  …わざわざ、森の中通らなくても、森の外側を通って行ったらいいんだから。

    精霊  「は?」「ちょっと。」「そんな。」

    ミユ  それじゃあ、バイバイ。

     ミユ、森の外側を歩き出す。

    精霊  「あ、おい。」「ちょっと、待てよ。コラ。」「俺達の立場考えて行動しろよ。」

    ミユ  そんなの知らないもん。

    精霊  「“もん”じゃなくてね。実際。」「俺達も森の中通ってもらわないと困るんだよ。」「僕達のアイデェンティティのために。」

    ミユ  アイデェンティティってなに?

    精霊  「バカ!バカに難しい言葉を使うな。」「そうだ。バカ。」「ああ、ごめん。あのねアイデ

    ェンティティって言うのは…。」

    ミユ  それじゃ。

    精霊  「あーうそうそ。賢い。めっちゃ賢い。」「うん、100点満点。」「利口利口。」

    ミユ  利口?まあ、いいか。

    精霊  「じゃあさ、気を取り直してさ。」「もう1回、森に入ろうよ。」「オマケするからさ。」

    ミユ  え?オマケって何かくれるの?

    精霊  「え。いや…」「よけいな、こと言うなよ。」「イテッ、腿コン。」

    ミユ  オマケないんだ。

    精霊  「え、いやごめん。」「どうしたら、森に入ってくれるかな?」「なんでも言ってよ。」

    ミユ  とりあえずさあ、私の前に出てきてよ。

    精霊  「え。」「僕達なら、ずっとここにいるよ。」「そうか、見えないんだ。」

    ミユ  うん。全然。

    精霊  「じゃあ、僕達が出るようにするからね。」「君も見ようと思ってね。」「そうしないと見

    えないんだ」

    ミユ  見ようと思う?

    精霊3 ハイ、出たよ。

    ミユ  まだ、見えない。

    精霊2 見ようと思って。

    ミユ  うん、分かったやって見る。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 9・10P。

    取った瞬間に照明効果。

     ミユ、ホコリを払って、ページをめくる。

    ミユ  あ、これ、辞典みたいになってるんだ。えーっと、チョコチョコチョコチョ…あった。

        えーっと、なになに?「おいしいチョコレートはカカオ村にある。」?…これ、お話の

        本かな?

     ミユ、表紙をみたりする。

    ミユ  何々、「カカオ村の行き方」?あれ?これ商店街の地図だ。

     カチヤ

    図書  あったかい?

    ミユ  あ、これ、借ります。

    図書  そうかい。じゃあ、これにクラスと名前書いて。

     2人、図書室に移動する。カチヤ

     ミユ、紙を受け取り、鉛筆立てから一本とり、書きこむ。(マイム)

    ミユ  5年2組、坂本ミユ。

    図書  じゃあ、確かに。

    ミユ  ありがとうございました。

    図書  期限は一周間だからね。

     ミユ、学校を出て、商店街に向かう。その途中で本を読んでいる。

    ミユ  えーっと、薬局とコンビニの間の道に入ったらいいのか?あれ?あそこに道ってあったっけ?

     ミユ、商店街につく。他、3人で商店街をあらわす(未定)。夕方の商店街、幻想のフィルタ

    ーがかかったような感じ。

    ミユ  おソバ屋さんがあって、薬局とコンビニの間に…あった。この道か。

     ミユ、路地に入る。商店街の音が遠ざかる。

    ミユ  最初の曲がり角を左に曲がって、曲がると赤いポストが見えて来るから、そこを左に

        曲がって、曲がると道が3つあって、そこを左か…。「そこを進むとゲートが見えてくる。」…あ、ゲートって木で出来た門のことか。「これを抜けるとカカオ村に着く。」か。

     ミユ、ゲートをくぐる。異空間が広がる。

     (この場面でカカオ村のもっとせっぱ詰まったのを書いておく。)

    ミユ  うちの町内にこんなところあったんだ。ここがカカオ村かな?

     男の子(マサル役)、入ってくる。

    ミユ  (あの子に聞いて見よう。)

     ミユ、村娘に近づいて。

    ミユ  ここってカカオ村?

    男の子 うん、そうだよ。

    ミユ  おいしいチョコレートがあるって聞いて…いや、読んで来たのだけど。

    男の子 …。

    ミユ  ?

    男の子 …今はないよ。

    ミユ  ないの?なんで?

    男の子  カカオの木が育たないからさ。

    ミユ  そんな。せっかく来たのに。

    男の子 それじゃあね。

     村娘、去ろうとする。

    ミユ  どうして?

    男の子 何?

    ミユ  どうして、カカオの木が育たないの?

    男の子 川が干上がっちゃったからさ。

    ミユ  どうして?

    男の子 そんなの分かんないよ。

    ミユ  でも、村の人カカオ豆がとれなくて困ってるんでしょ。

    男の子 そりゃあ、困ってるよ。だから、水源を調べにいったんだ。

    ミユ  スイゲン?

    男の子 川の流れが始まっている所だよ。

    ミユ  そのスイゲンはどこにあるの?

    男の子 あの山の真ん中あたり。

    ミユ  あの山の上のお城は何?

    男の子 昔、このあたりを納めた王様のお城なんだって。誰もいったことないけど。

    ミユ  へえ、そうなんだ。

    男の子 チョコレートがないのは分かっただろ。

     男の子、去ろうとする。

    ミユ  よし、決めた。私もそのスイゲンに行く。

    男の子 え?

    ミユ  村の人困ってるんでしょ?私がスイゲンに行くよ。

    男の子 何言ってんだよ!オトナだって行けなかったんだゾ!

    ミユ  じゃあ、子どもなら行けるかもしれない。

    男の子 …そんなことないよ。

    ミユ  とりあえず、行ってみる。無理そうだったら帰ってくるし。

    男の子 …。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 7・8P。

    ミユ  あ、先生行っちゃう。

     ミユ、先生を追う。(マイム)

    ミユ  先生。

    先生  ん。なんだ?坂本?

    ミユ  あの、おいしいチョコレートの作り方教えて下さい。

    先生  え、美味しいチョコレート?

    ミユ  はい。知りませんか?

    先生  うん。参ったな。先生、チョコレートは作ったことないんだ。

    マナミ バレンタインデーに自分で作ったりしないんですか?

    先生  なっ。

    マナミ しないんですか?

    先生  先生、そこまで落ちぶれちゃいないぞ。

    ミユ  じゃあ、作ったことないんですか?

    先生  じゃあって、坂本。とにかく先生は作れないんだ。

    マナミ ついでに彼女も作れなかったりして。

    先生  なっ。

    マナミ やーい、ドクシンキゾクー。

    先生  こら、マナミ。そんな言葉どこで覚えたんだ。

     先生、マナミを追う。(マイム)マナミ、逃げる。

    マナミ わードクシンキゾクのハンランだあ。

    先生  独身独身いうんじゃない。

     先生、去り際に

    先生  坂本。図書室に行ったらなんか本があるんじゃないか?

    ミユ  そうか。はい。そうしてみます。

    先生  あんまり、遅くまで残ってるんじゃないゾ。

    ミユ  ハイ!

     マナミ、出てきて。

    マナミ ドクシンドクシン。

    先生  こらっ。いい加減にしろ。

     先生、マナミを追う。マナミ逃げる。ミユ、それを見送る。

    ミユ  マナミちゃん、ホントに先生が好きなんだなあ。

     ミユ、教室を出て、廊下を歩き、階段をのぼり、また廊下を歩き、図書館に着く。

     ガラガラガラ。時計の音カチコチ。不思議空間。

     ミユ、図書室の先生(図書と表記)に気付き、聞きに行く。図書室の先生は声の出演。

    ミユ  おいしいチョコレートの作り方の本ありますか?

    図書  ん?おいしいチョコレート。

    ミユ  ありませんか?

    図書  うーん。どうだったかな?そこで本の名前と書いた人の名前で調べられるようになって

    るから、調べてみな。

    ミユ  はい。

     ミユ、図書カードで調べだす。まずは本の名前から。(マイム)

    ミユ  お、お、お、おおお、おい、おい、おい、…「オイとセイチョウ」だめだ。ないや。

    じゃあ、書いた人の名前で…。チョコレートの本って誰が書いてるんだろう?

    図書  あったかい?

    ミユ  どうやって、調べて良いか分からないです・

    図書  よく考えたら、そこの棚が料理コーナーだったよ。

    ミユ  あ、そうなんだ。

    図書  そこで、探してみな。

    ミユ  はい。

     ミユ、本を探す。(マイム)

    ミユ  えーっと、お菓子お菓子お菓子…。あった。

     ミユ、本を取り、読む。しかし、それはマナミに教えてもらった以上のことは書いてない。

     ミユ、本を元に戻して。

    ミユ  これ以外にお菓子の本ありませんか?

    図書  なんだ。その本じゃだめだったのかい?

    ミユ  はい、この本は知ってるんです。

    図書  そりゃあ、残念。

    ミユ  他にないですか?

    図書  うーん。古い本で良かったら、書庫に何冊かあったと思うけど。いいかい?

    ミユ  はい。

    図書  じゃあ、ちょっと待ってな。

     図書、書庫の鍵を開ける。(マイム)

     カチヤ

    図書  ホコリが多いから気をつけて。

    ミユ  はーい。

     ミユ、書庫に入り、本を探し出す。

    ミユ  お菓子お菓子お菓子お菓子…。あった!えっと「お菓子ダイゼン」?ずいぶん、大きな

        本だなあ。

     ミユ、「お菓子大全」を取ろうと手を伸ばす。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 5・6P。

    良太  えー、また。

    ミユ  いいから。

    良太  分かったよ。…(食べる)。うん、おいしい。

    ミユ  ホント?

    良太  この前よりはね。

    ミユ  え?

     良太、溶かす前のチョコを食べる。

    良太  やっぱり、こっちのほうがおいしいや。

    ミユ、呆然。  

     暗転

    ミユ  良太、食べてみて。

    良太  …なんだこれ粉ふいてるじゃないか。

    ミユ  え。ホントに?

    良太  これは食べられないなあ。

     暗転

    ミユ  良太、食べて見て。

    良太  ん?下さいは?

    ミユ  食べて下さい。

    良太  よし。…(食べる)。

     良太、アメリカ人的なおおげさなリアクション。「これじゃあ、だめだよ。チョコだけにまだ

    まだ甘いね。」

    暗転。

    ミユ  食べて下さい。

    良太  …(食べる)。うーん。

     良太、散々悩んだすえにバツ。

    ミユ  良太、お願い。

    良太  うん。…(食べる)…!おいしい!お姉ちゃん、今までで1番おいしいよ!

    ミユ  ホント!?

    良太  うん。

    ミユ  やったあ!

     良太、溶かしてないチョコを食べる。

    良太  すごいや。こっちと全く同じ味だ。

    ミユ  は?

     良太、嬉しそうにチョコレートを食べる。ミユ、呆然。

    母親  ミユ、あなたまたチョコレート買ってきて

     学校

    マナミ そおかあ、同じ味になっちゃうんだ。

    ミユ  これ、以上どうしたらいいんだろう?

    マナミ もっとおいしいチョコを買ってくるとか。…って一緒か。

    ミユ  アイジョーが足りないからかな?

    マナミ どうしたらいいんだろうね。

    ミユ  うーん。

     キーンコーンカーンコーン。

    ミユ  あ。

     生徒達、席につく。良太役も別の生徒として、席に座っておこうか。

     先生、入ってくる(マイム)。ガラガラ。先生は声の出演。

    先生  さあ、始めるぞ。

    生徒  キリーツ、レイ、チャクセキ。

    先生  さあ、今日は先週の続きからだったな。

     授業が、しばらく続く。

    マナミ ねえ、先生に聞いてみたら?

    ミユ  でも、先生知ってるかなあ?

    マナミ 大丈夫。先生、ドクシンだから。

    ミユ  そうか、時々、料理するって言ってたもんね。

    先生  コラ、そこ。おしゃべりするんじゃない。なんか、独身とか聞こえたぞ。

    ミユ  スイマセン。

    マナミ おこられちゃったね。

    ミユ  うん。

     先生、少し授業。

     キーンコーンカーンコーン

    先生  おっ、じゃあ。今日はここまで。皆ちゃんと予習しておくように。

    マサル ようし、ドッジボールやろうぜ!

     マサルと生徒出て行く。

    マナミ マサルくん、いっつもドッジボールだね。

    ミユ  うん。(うっとり)

    マナミ あんなのの、どこが…

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 3・4P。

    ミユ  どんなのが入ってるの?

    マナミ 種類によって違うけど、カカオマスとかレチシンとか。ミルクチョコには乳化剤ってい

    うのも入ってるの。

    ミユ  ニューカザイって何?

    マナミ 牛乳の「乳」に化けるの「化」とビタミン剤とかの「剤」で乳化剤。

    ミユ  乳化剤。

    マナミ そう。

    ミユ  どうなるの?

    マナミ え?

    ミユ  乳化剤を入れるとどうなるの?

    マナミ …それは…

    ミユ  それは?

    マナミ …知らない。

    ミユ  えー、それじゃあ、どうやってチョコレート作るの?

    マナミ あわてないあわてない。今はチョコレートのキソチシキに触れただけで、ちゃんと作れ

    るから。

    ミユ  ちゃんと作れるの?

    マナミ そう、だから安心して。

    ミユ  どうやって作るの?

    マナミ 買ってきたのを溶かせばいいんだよ。

     場面がミユの家になる。ミユ、帰って来る。

    ミユ  ただいまー。

    母親  おかえりなさい。ん?何か買って来たの?

    ミユ  あ、うん。チョコレート。

    母親  チョコレート?お菓子ならちゃんと買ってあるでしょ。

    ミユ  これは違うの。

    母親  違うってどう違うの?ちょっと…。

    ミユ  もー、お母さんたらうるさいんだから。さて、マナミちゃんに教えてもらった通り、チ

    ョコレートを溶かして…

     良太、入ってくる。

    良太  お姉ちゃん何やってんの?

    ミユ  何って見ての通り、チョコレート作ってるのよ。

    良太  チョコならここにあるじゃん。

     良太、チョコレートを食べようとする。ミユ、良太の手を叩く。

    良太  イテッ。

    ミユ  ガっつかないの。

    良太  なんだい、ケチ。

    ミユ  できたらちゃんと実験台に…ううん。食べさせてあげるから。

    良太  できたらって、そこにあるじゃん。

    ミユ  だから、今からこれを溶かして固めるの。

    良太  溶かす意味無いじゃん。

     良太、食べようとする。ミユ、叩く。

    良太  イテッ。

    ミユ  だめだって言ってるでしょ。

    良太  チェッ、ケチンボ。

     良太、去る。

    ミユ  こうやって、火にかけて溶かして型に流し込んで、冷蔵庫で冷やして…できあがり!良

    太、良太!

    良太  何か用?

    ミユ  はい、チョコレート。食べて見て。

    良太  サンキュー。…(食べる)。見た目がチョコレートだからって騙されないぞ!

    ミユ  え?

     学校。

    マナミ それは、あれだよ。直接火にかけちゃったのが、敗因だよ。

    ミユ  火にかけちゃダメなんだ。

    マナミ うん。なんか良く分からないけど、分離しちゃうんだって。

    ミユ  分かれちゃうんだ。

    マナミ うん。「分かれる」なんて嫌だから気をつけたほうが良いよ。

    ミユ  大丈夫。食べるのは良太だから。

    マナミ 良太くんもサイナンね。

    ミユ  で、どうやって溶かすの?

    マナミ ん?ああ。それはねユセンをかけるの。

    ミユ  ユセン?

    マナミ うん。直接、火にかけると分離しちゃうから、ボールにお湯を入れてそれで暖めて溶か

    すの。

    ミユ  へー、そうなんだ。うん、分かった。やって見る。

     ミユの家。

    ミユ  さあ、今日はちゃんと成功させるぞ。

    母親  ミユ、何してるの?

    ミユ  あ、お母さん。

    母親  あ、ミユったらまたチョコレート買ってきて。

    ミユ  オコヅカイでかったんだからいいでしょ。

    母親  甘いものばかり食べてると虫歯になるわよ。

    ミユ  大丈夫、食べるのは良太なんだから。

    母親  あ、ちょっと、ミユ。もう、困った子ね。

    ミユ  今度は失敗しないように、ちゃんとユセンをかけて溶かして…できあがり!良太、良太。

    良太  何?

    ミユ  食べて見て。

    痛い書きかけ脚本『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02 1・2P。

    ナカノ実験室・ニュー・新人公演用脚本案

       『カカオ豆みつけた。』 Ver.1.02

     登場人物

    現実世界の人々

       ・

    ミユ  主人公、小学5年生

    マサル ミユが好きな女の子

    マナミ ミユの友達

    良太  ミユの弟。一人だけ漢字表記なのはとくに意味なし。生徒役もやる。

       ・

    その他異空間の人々 現在は未定(増えている、変更バリバリ。)

       ・

    精霊3、男の子           マサル役

    精霊2、魔女、巨人の妻       マナミ役

    精霊1、少年、巨人の夫、      良太役

       ・

    その他大人達    声の出演にする。

       ・

    母親(母親はいらないかも。)

    先生

    図書の先生

    ミユ  バレンタインイ。世界中の女の子達が胸をドキドキとワクワクでいっぱいにする日。夢

    のない人達は「お菓子屋さんが作った日。」とか言うけれど、私達女の子には大切な日。

    かくし味はアイジョウ。アイジョウをたっぷりつめ込んで、今年こそはちゃんとあって渡すぞ!…いや、手紙と一緒に下駄箱に入れとこうかな?でも、下駄箱にチョコレート

    いれとくってのも…。うーん、どうしようかな?

    マナミ ミユ、ミユ。

    ミユ  ん?何?

    マナミ どうしたの?

    ミユ  ちょっと。

    マナミ バレンタインの事?

    ミユ  うん。今年こそはちゃんと渡したいんだけど…。

    マナミ マサルくんに?

    ミユ  もちろん!

     マサル、入ってくる。

    マサル おーい、ドッジボールしようぜ!

     生徒達、マサルの方へ行く(マイム)。マサル、去る。

    マナミ マサルくん、ドッジボール強いんだよね。

    ミユ  うん。あと、水泳も上手だし、跳び箱も6段飛べるし、それとたて笛はあんまり上手く

    ないけど、とにかくぜーんぶすごいんだから。

    マナミ 「らぶらぶ」だね。

    ミユ  うん。「らぶらぶ」。

    マナミ それだったら、頑張って、ドーンと渡さないとね。

    ミユ  そうなんだけど…

    マナミ どうしたの?

    ミユ  やっぱり、面と向かって渡すのは恥ずかしいかなって…。

    マナミ そりゃあ、恥ずかしいわよ。

    ミユ  それに、もし嫌われちゃったらと思うと…

    マナミ そんなんじゃ、渡せないよ。

    ミユ  だから、手紙つけて下駄箱にでも入れとこうかな?って。

    マナミ えー、ダメだよ。上履き臭くなっちゃうよ。

    ミユ  やっぱりそうか…。

    マナミ 私はちゃんとチョクセツ渡すよ。

    ミユ  え?

    マナミ しかも手作り。

    ミユ  えーすごい。誰々?ケンタくん?ミツルくん?タカオくん?

    マナミ 私は5年生なんて子どもは相手にしないの。

    ミユ  え?じゃあ、誰?

    マナミ 先生。

    ミユ  えー、先生!?マナミちゃん、オトナー。

    マナミ 私の手作りチョコで先生もメロメロよ。

    ミユ  マナミちゃん。すごーい!

    マナミ ミユはどうするの?

    ミユ  え?

    マナミ チョコレート。

    ミユ  今年は手作りにしようと思ってるんだけど。

    マナミ やっぱ手作りじゃないと。

    ミユ  アイジョーこめないとネ。

    マナミ でも。チョコを甘く見ちゃだめよ。

    ミユ  え、チョコって甘いよ。

    マナミ そういうことじゃなくてね。

    ミユ  どういうこと?

    マナミ …ミユ、チョコって作ったことある?

    ミユ  ううん。ない。

    マナミ じゃあ、作り方って知ってる?

    ミユ  知らない。

    マナミ それじゃあ、チョコレートの箱の裏って見たことある?

    ミユ  ううん。

    マナミ なんだ、全然知らないじゃない。チョコレートシロートね。

    ミユ  先生、教えてくだされ。

    マナミ じゃあ、教えてしんぜよう。

    ミユ  ありがとうございます。

    マナミ まず、チョコレートのセーブンだけど、どんなのが入ってるか知っている?

    ミユ  えーっと、甘いからお砂糖は入ってるでしょ。それからカカオ豆とか…。

    マナミ それだけじゃないよ。

    2012年8月16日木曜日

    樹幹解析に関するプログラミング卒業論文のレジュメ省略部分まとめ。

  • 樹幹解析に関するプログラミング卒業論文のレジュメ省略部分6・7P目。
  • 樹幹解析に関するプログラミング卒業論文のレジュメ省略部分5P目。
  • 樹幹解析に関するプログラミング卒業論文のレジュメ省略部分4P目。
  • 樹幹解析に関するプログラミング卒業論文のレジュメ省略部分3P目。
  • 樹幹解析に関するプログラミング卒業論文のレジュメ省略部分2P目。
  • 樹幹解析に関するプログラミング卒業論文のレジュメ省略部分1P目。
    これらは、実際に使ったレジュメで省略した部分なので、世に出てないモノなんですが。
  • まぁ、こんなので、よく卒業できたな。とか思います。その後に、続きの研究もされてないだろうし。

    あれから、プログラミングもすることのない人生であった。

    樹幹解析に関するプログラミング卒業論文のレジュメ省略部分6・7P目。

     平均、分散、(標準偏差)、変動係数

    八点、自分を入れて9点の濃度の平均を求める。

    →突発的な傷、汚れをを緩和する意味もある。一点だけの信頼性は疑わしい。

    八点、自分を入れて9点の濃度の分散を求める。

     年輪を堺にして分散の大きな変動がある。

      →年輪には何ピクセルかの幅がある。

     年輪の縞の入脱の際、変動が大きくなる。

    八点、自分を入れて9点の濃度の変動係数を求める。

     分散だと、明るい所(つまり数値が高い所)ほど分散の値が大きくなるので、心材部、辺材部での数値の変化を緩和するため。しかし、限界がある。

    本プログラムで検出する年輪界に注目すると、ミョウケンスギの場合は色合いが暗い部分と明るい部分の境界であることが分る。数値的に見れば数値が低い部分から高い部分に移る所である。

     (中心から各方向という説明をもう少ししっかりと。)

    Ⅱ章 プログラムに実装化向けて

     Ⅰ章で述べた基本的な考え方に基づいてプログラムを作成した。しかし、円板画像の持つ数値的特徴を理解することは試行錯誤の連続であった。そこでⅡ章ではまずコンピューター内での画像の扱いについて概説し、円板画像を扱い知り得たこととプログラム作成初期に考えた基本的な検出方法、そしてその問題点を述べⅢ章に移ることにする。 

    Ⅲ章 プログラムの実装化 -近傍八点について-

     円板画像は常に予期せぬ物(ノイズ)が現れる可能性がある。Ⅱ-3で述べた問題のいくつかはそのノイズが原因のひとつになっていたと考えられる。先ずその問題を解決するために近傍八点という考え方を導入した。Ⅲ章では近傍八点の説明をし、そこから得られる情報について説明し、プログラムの実装化を図る。

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